歩行者同士でも、お年寄りに怪我をさせると罰せられます。

04年の8月に東京で起こった歩行者同士の事故の事です。どちらも交差点を歩いていたのですが、当時25歳の女性が、91歳の高齢者を転倒させて骨折となり、歩行障害を持つに至った・・・その裁判で、若い女性に不注意歩行の過失が言い渡され、不自由になった右足の治療に関わる損害賠償として780万円の支払いが命令された。

東京地裁判決では、「健康な成人は、高齢者ら歩行弱者に注意を払い、衝突を避ける注意義務がある」と明言し、この注意を被告が怠りお年寄りが歩いている事をよく確認せずに回りの店に注意を取られていた、と状況説明をしました。

之を法律的に言うと、「不法行為責任を負う」と言うことになるようです。



街中では、若い人たちだけでなく、障害を持った人々や足の不自由なお年寄りが沢山歩いています。介護者が同行されて居らず、不自由な体で必死で歩いているお年寄りを見かけることも多いものです。・・・こんな場面で、傷害を持つ人々に配慮せず、我先に横断歩道を走り回ったり、人を突き飛ばして進む様な行為がされた場合は、今回の裁判に言われているような怪我人が出る事は充分予想できるものです。この場合、責任は自由に歩きまわれる健康な人に課せられるのは当然のことでしょう。お年寄りや障害のある人たちは、余裕などありません、何とか人に迷惑をかけずに自分で目的地まで辿り着こうと移動しているんです。



こんな時に、自分中心に早足で歩いて、お年寄りに突き当たれば、当然事故が起こります。之は、”不法行為責任”と断ぜられても止むを得ないでしょう。





今回、罰金を科せられた女性は、こんな判決を受けて納得がいかないかもしれません。しかし、世の中若い元気な人ばかりが歩いているのじゃないことを知るべきであり、幾ら急いでいても、急を要する必要がある場合でも周りの状況に気を付けて進むべきであることは認識して頂きたい。

社会で沢山の人たちと一緒に住んで行くと言うことはそういうことなんです。自分勝手な気持ちだけで物事を進めようとするとき、必ず、誰かを跳ね飛ばしてしまうような生き方をするわけですから問題が起こります。



今回の判決を重く受け止め、日本の社会でのお年寄りへの配慮がもっともっと充分になされてゆく事を肝に銘じてゆきたいと思います。

満足にまっすぐ歩けない体になっても、安心して外出が出来る街角にして欲しいし、それは私達一人一人の気持ちがあれば達成できると思います。