労働基準法の改正があるらしいが・・・?

政府はなくならない時間外労働と過労死の防止対策として、労働基準法における割増率アップを法案提出しようとしている。今までの25%増しから、40%増しを提案するという。割り増しが増えることは、働く者に関しては実入りが増えることになるが、果たして残業や過重労働の防止につながるだろうか?



企業は、現在の法律では、”1日8時間を越える労働または、週40時間を越える労働については、割増賃金を支給しなければ労働基準法違反として企業が処罰されることは承知のとおりである。

しかし、現実には過重労働はなくなっていないこと、過労死などの原因として残業の強制がもたらす弊害は依然として中小企業などではしばしば問題となっている。

使用者と被雇用者の関係は、どうしても働く者の方が弱い立場である関係上、又労働組合などの労働者を守る盾が無い場合、使用者の言いなりに使われてしまう傾向となる。・・・かくして、今回時間外労働単価の割り増しアップが図られることにより、不必要な残業が少なくなり、定時間での労働にて拘束時間が守られるならば確かに働く者にとっては歓迎すべき法律となるといえる。しかし、問題はここだけで喜べない。



<改正をめぐる問題>

1・取り締まって欲しいのは、中間管理職において顕著ですが、一定の管理職手当が支給される形で、無制限の残業が半強制されている実態のことです。例えば、企業の都合の良いように”管理職手当て”などの名目にて月額単位の手当が支給され、それを良い事に業務追行のために残業が義務化・無償化されることが起きている。



2・年度予算などが上部から決められ、それを達成するために毎月の売り上げ目標が設けられ、その実現のためには残業などが強制されるという遣り方である。もし、売り上げ達成が低いときは容赦なくボーナスや昇給の査定で給与などを切り下げる遣り方がまかり通っています。

之は、一種のペテンです。役職手当という形で喜ばせておいて、実は残業手当をカットし、なおかつ企業の計画する利益を獲得するために管理職の労働を自由に搾り取る遣り方です。



こうしたことは、今やどこの企業でもされていることは承知のことですが、規制すべきことは、こうした遣り方が労働基準法で取り締まられる必要があるのです。



3・問題は、ではどこまでが管理職なのか?という問題でしょう。

之には本人の同意も必要ですが、勝手に役割だけが強制され、職場などの仕事の管理が任されている場合、今度はその手当て金額そのものの交渉がきちんとされる必要があり、労働に見合う賃金の確保が補償されなければならないということです。

・・・もし、会社が、単に時間外労働の短縮目当てにさまざまな役職を乱発して時間外労働を請求できないようにしているなら、それは違法であると言わざるを得ない。・・・実際には、こうした事例は山とあるわけです。



おそらく、今回の労働基準法改正に向けて、会社は時間外労働をなくすためにいろいろな圧力をかけてくると思われます。

この場合、肝心なことは、無償労働サービス残業はしない、ということです。いくら必要な仕事があると言われても、残業手当が出ない形では仕事を引き受けないことです



・・・こうして考えてくると、大事なこと、今回の法律改正を労働者にとって有利なものにするためには労働者の組合(または交渉窓口が)きちんと会社に対してルール作りをすることです。この意味では、労使の力関係により、今回の改正が企業に有利に進められるのか?または労働者に有利に進められるのかの分かれ目があるといえるでしょう



おのおのの職種では、労働基準法改定が、どういう形で進められるのか?十分学習してゆきたいと思うのです。又、これを機会に、組合の無い職場では、労働組合の結成もしてゆければ良いと思います。