多重債務者救済の問題をどうするか?

●年間8000人といわれる生活苦、経済苦による自殺者。日本の年間自殺者の3分の1近くが、こうした生活・経済の要因により自殺していることを重視し、金融庁では出資法の改正を練り上げたという。関係法の改正を今国会にて提出し、可決を目指していることが日程に上がっているがその内容はお粗末です。

自民党がまとめている法律はお粗末です。いわゆる出資法の高利率(29・2%)を改めて、利息制限法(20%)を上限とする法律改正を改正案としているが、向こう5年間の小額・短期、融資枠を特例で認める抜け道を用意している。



自民党内ですら、こうした曖昧な改正案に反対する議員が続出しており、法案の中身から考えて、貸金業の暴利を容認する「ざる法」と変質していることは誰の目にも明らかです。利息制限法自体も、15%から20%の範囲なら利息が正当なものと認める内容になっているが、之すら銀行利子と比較すれば法外な利子であることは明らかです。本来、現金の融資行為は、それ自体生産的な役割を果たさない利子所得でありこの利子により利益を上げる消費者金融の存在こそ、現代社会の寄生的な非生産的利益業種であることを確認する必要があるのです。・・・公的な資金提供が、もっと整備されてこうした消費者金融の高利に手を出さなくてすむ社会になれば、生活・経済要因の債務者は激減する筈です。



●大手の消費者金融が、大手を振ってテレビなどのメディアで宣伝を繰り返し、銀行までもがこうした業者に融資を繰り返し、庶民からの融資を広げてゆこうとしています。健全な社会を目指すならば、こうした消費者金融の行き過ぎた宣伝活動を規制する必要があり、特に若い世代が簡単にお金を借りてしまう仕組みをこれ以上広げてしまってはならないと思うのです。



●とりわけ、多重債務者の問題は深刻であり、今回の改正が骨抜きになるのかどうかが死活問題となっています。多重債務者の多くは社会に対して救済の手を求めている。利子の支払いに追われ、次から次へと負債が増加し、のっぴきならぬ借金に負われて助けを求めている。

・・・勿論、そうした資金提供を受けた彼らの自己責任はあるだろうが、利子の高額な利子が認められ容認されていることは社会制度の問題でもある。

脱落者を容易に生み出す高額な利息が容認されている限り、(簡単に多額な融資がされることにより、結果的には雪だるま式に負債が膨らんでしまうことになる。)又こうした貸金業者が多数社会に根を張っている限り何時まで経っても多重債務者の問題は解決されないだろう。

経済的に追い詰められた多重債務者が自殺をしても、生命保険から支払われる保険金により貸金業者は取り立てる費用を引き当てることが出来ることになっており、まさに墓場までの取立てシステムが出来上がっている。こうした、遣り方がマスコミに取り上げられ社会的な批判の的になっているが、単に貸金業者の倫理性の問題だけではなく、生命保険会社にも責任があることは伏せられている。



●街には、消費者金融の宣伝が闊歩しており、安易にそうした勧誘に手を出すと、次から次へと融資額が膨らんでしまう危険がある。自己規制の可能な人ならまだしも、それが出来ずにどんどん深みにはまることになれば、次第に利息の支払いにおわれて返せなくなる「蟻地獄」が待っている。

甘い言葉で最初は少額の融資を受けていても、きわめて危険な高額の利息支払いが待っていることを忘れてはならない。

問題は二つある。こうした、無計画な借金を繰り返す借りる方の人の問題。(ここには、生活苦と経済的要因が含まれます)

そしてもう一つは、こうした人を対象に肥え太る貸金業者の存在です。・・・彼らは、高額の出資法の制限により、公に高額利息が認められているわけですから・・・おまけに闇金があります。正規の貸金業者からも借りられなくなると、最後はこうした闇金を利用することとなる。彼らの利息は無制限です。法律を無視して資金提供をしているのですから、その利息についても法外な利息が契約可能です。・・・いったんこうしたお金に手を染めると、もう手が付けられない事態にならざるを得ない。闇金が、暴力団などと結びついていることはご存知の通りであり、さまざまな犯罪と結びつくことになります。



●今、多重債務者の問題を放置すれば、何時まで経っても経済的破綻の犠牲者が増え続けることになります。日本の社会から、不正な貸金業者を締め出すことなしに問題の解決はありません。そして、そのためには、公的な経済支援の制度が公に作られる必要があります。

生活と、経済的な破綻から救済するためのサポートシステムがもっと確立されることが急務だと思います。之には、勿論政府や自治体の協力が必要であり、公的な資金の投入が求められている。『なら、その資金は税金から出すの?』と聞かれれば、そうではなく、防衛予算を削減することが出来ると答えたい。不必要な自衛隊の戦闘機を削減すれば、何人の多重債務者を救済出来るのか?考えて欲しい。必要ない軍事演習をなくせばどれだけの経費が浮くか?

・・・夢物語ではなく、今後の日本の平和は、軍事的な予算を撤廃して、社会的な歪を無くす為の投資を行うことだと思います。

年間3万人以上の人が自殺をしている時代に、対外緊張をあおって、防衛費を多額に計上する誤りを指摘したいと思います。敵は『外』にあるんではなく、『内』にあるのです。どこどこの国が脅威なのではなく、日本の社会の矛盾した歪みが自己崩壊を起こすことになると警告します。

この事態がますます深刻化すれば、次に遣ってくるのは、内部矛盾を転化する為の方策として、海外派兵によるはけ口として軍事的な進攻が図られる危険を予想するのは、私だけではあるまい?・・・之は、かって、日本が過ちを犯した60数年前の歴史だったのです。