Buddha collapsed of shame 「子供の情景」を観て感じたこと。

no-mu2009-05-06

休みを利用して、昨日大阪第7芸術劇場に足を運び、マフマルバフ監督による上記の映画を観ました。当日朝の10:30からの上映でしたが、こどもの日の祭日ということで十数人の映画好きの人達(やはりミドル以上の年齢層が多い)がきていました。(たまたま、職場の地域で活躍されている専門職の知人も来ておられてお互い目を丸くしてびっくりでした)
好きなシートにゆっくり座り、映画を鑑賞させて頂いたのですが一言で言って素朴な映画です。
アフガニスタンバーミヤン仏像がタリバンによって破壊された情報は皆さんご存じだと思いますが、その破壊された山腹に貧しい人々は居を構えて暮らしています。要するに洞穴生活です。水を得るにも、遠くにある井戸までくみに行く必要があり、女性達は子育ての合間に子供達を洞穴(家)に残して井戸のあるところまで歩いて行きます。その間赤ん坊達は母親が居ないので泣いていることがある。当然母の姿を追って自分も外に出ようとする・・・だが外は危険な崖があり事故になる可能性がある。迷子になることも考えられる。そこでひもで赤ん坊や子供達をくくり拘束する。これは日本で言えば、虐待に当たるかも知れないが、この地方では当たり前のことらしい。・・・そうしないと、子供の安全は確保できないという理由がある。ましてや外では戦争が収まっていない。もし子供達が無防衛に危険な場所をうろついていれば、あるいはタリバンや、米軍等に攻撃される危険性もある。

こうして、大人達は子供達をこうした過酷な環境下で育てているが、貧しいが故に学校などの教育を十分に受けさせることが出来ない。

主人公のバクタイ(女の子)は隣の息子=アッバスが学校に通って勉強を始めたことを知っている。最近、しばしば声を出して字を読む勉強をバクタイにも聞こえるようにしている。ところがその声がうるさくバクタイの妹が寝付けない。妹の子守をするように母親から言いつけられているバクタイとしては、何とか妹を寝かしつけたい。「お願いだから煩くしないで?」と頼んでも彼は聞かない。
・・・彼女も本当は学校に何とかしていきたいと願い、自分で家の鶏の卵を市場まで持って行ってそれを売ってノートと筆記用具を飼おうとする。しかし簡単には大人達は卵を飼ってくれない。苦労を重ねて、とうとう4つ有った卵は一つが落ちて割れたが他をパンに交換してそれを売ることが出来た。ノートだけは確保出来た。少女は1冊のノートを持って学校に赴いたが、教室で聞いていると先生が注意する。「男の子じゃなければ此処では勉強できない」 しかし次のようにアドバイスをする。「川向こうの場所に、女性を対象とする学校があるから、そこに行けばいい」

バクタイは、未だ行ったことのない川向こうの学校に何とか一人旅をしながら赴き無事に辿り着く。途中で犬に吠えられ、男の子達に囲まれて悪さをされるが、それに怯まず学校にたどり付くことが出来た。しかし、 飛び入りで参加した教室では、なかなか仲間に入れてもらえない。自分の座る席もない。しかしそれでも彼女は諦めず、持ってきた口紅を女の子達に塗ったり塗られたりして遊びながら仲間に入れるようになる。しかし、担当の先生からこっぴどく叱られ教室から追い出されてしまう・・・

こうして、彼女の学校入学の試みは失敗するのだが、彼女はどこまでも学び続けようと希望を捨てない。どんなに男の子達に虐められてもそれに屈しない強さを持ち合わしている。
しかし、執拗な男の子達の嫌がらせに合いアッバスから”死んだふり”をして悪ガキどもの虐めから脱出する方法を教えられる。
しかし、彼女はそんなやり方を由とせず、大人達に悪戯ばかりの男の子達を何とか規制するよう懇願する。しかし、いくら彼女が訴えても大人達は動かない。

最後の場面では、彼女は男の子達に囲まれ嫌がらせを受ける脱穀籾殻に埋まる場面で「死ぬ演技」をする。本当はそうしたくはないが、そうすることで、男の子達の攻撃が終わるのではないか?と言うかすかな希望を信じて居るのかも知れない。誰も助けてくれない幼い少女の絶望が、感傷的な要素を捨象して描かれているところが印象的である。
・・・大人達は、貧しく忙しい。だから子供達がどんな遊びをしているのか、虐めが行われているのか?に無関心だ。
何故こんなにも、子供達の環境と行為に対して無関心でいられるのか?今の日本に暮らす私たちからすれば不思議に思えるかも知れない。
でも、子供達が置かれている環境が、あまりにも異なっていることを考えねばならない。
貧しさというものは、余分な文化活動に対して知恵を及ぼす余裕を持たないから、子供達に対しては食べることと命を長らえること以外についてはすこぶる放任主義が横行しているようです。
そんな中で、主人公のバクタイの姿は一言で純粋無垢の領域に立っていることがよく分る。

この映画を制作した監督=ハナ・マフバルマフは、イラン生まれで18歳の時にこの映画の撮影を開始し、現在19歳だと言うからびっくりです。彼女のファミリーは以下のように映画監督ファミリーだと言うことです。既に8歳の頃からビデオ作品を作り出し、映画監督の家族の中でどんどん作品を海外の映画祭等に出展しているそうです。これからどんな作品が作られるのか大いに楽しみです。
この作品では、マスコミ等の情報からは得ることが難しいアフガニスタン地方の人々の生活と子供達の情景が映し出されています。こうした作品により、そこに暮らす人々の思いを政治的なイデオロギーだけでは見過ごされがちな人間としての生き様として、私たちが再認識する機会を得ることが出来るように思います。
なお、出演している子供達は、全て現地のアフガンの地元の子供達だと言うことです。6歳でバクタイ役をしているニクバクト・ノルーズ や、アッバス役のアッバス・アリジョメ は大変印象深いですね!

http://kodomo.cinemacafe.net/index_pc.html


この写真は、人で賑わう大阪難波の地下道で居合わせたわんちゃんの姿があまりにも可愛かったのでぱちりと撮らせてもらいました。・・・お話に夢中になっている飼い主とわんちゃん同士の交流が伝わりますね。

此方は、我が家のベランダで唯一花が咲き誇っているベルフラワーです。朝顔たちが主役になるまで毎朝太陽に向かって小さく咲いています。

今が旬の躑躅が、綺麗ですが、この白色に赤い水玉模様のはなが、実に愛らしいですね。

最後に、これは何の花?・・・そうです、ミニトマトの花ですが、未だ実が成ってきません。
肥料が足りないのかな?と休み中に追肥をしました。早く実が成ると良いのですが、大丈夫かな。