高齢者が安心して住める国にしなければ・・・

no-mu2009-05-24

新聞紙上で、老人ホームの苦情が急増していることが報道されていた。
ここ10年で観ると、5倍にも上る苦情相談が寄せられており、その内返金と解約トラブルが約8割を占めているという。
全国にある消費生活センターに寄せられた苦情だけで、08年度は既に400件に迫っているという。98年度の数と比較する場合介護保険制度が始まって利用者の数や認定者の数が増えたことを考えても、その増え方に問題があることは明らかです。
特別養護老人ホームに申請しても入れずに待っている利用者が38万人を超えていると云われ、公の施設で対応できない施設ニーズが老人ホームに流れていることが伺える。
こうした背景から、在宅生活に馴染まず、施設入居を希望する利用者達がどんどん有料老人ホームへと流れているのが現実です。
届け出施設としては、厚生労働省届け出が07年7月で2846施設15万5千人が入居していたが、09年3月には4110施設20万2千人が入居している。
この数字は、特養の待機利用者の半分以上が既に有料老人ホーム等に入居せざるを得なくなっていることを示しており、その他にもいわゆる無認可の無届け施設が600以上存在していると云われており、こうした施設では緊急時の火災対策などがされていない危険施設として存在しており、行政機関のチェックを逃れて放置されている。それだけではなく、生活保護受給者などで在宅生活が難しい人達がどんどんこうした無届け施設へと誘導されている実態が先日の群馬県「静養ホームたまゆら」での火災事件により明らかにされてきている。

質が担保されていない施設がどんどん増えることにより、苦情やトラブルもうなぎ登りとなることは予想されたことだが、果たしてこうした問題は改善されてきているのか?
厚労省は06年の老人福祉法改正により老人ホームの指導指針を見直し、「90日以内に解約した場合は全額を利用者に返還する」というクーリングオフ規定を盛り込んだ。
しかし、この指針が果たして効果を及ぼしているのか?どういう点に問題があるのかが早急に明らかにされる必要があると思う。
3ヶ月以内の解約なのに、クーリングオフに応じない例や契約書・重要事項説明書の不備未交付の例は枚挙にいとま無い。
利用者からの苦情は、様々な生活全般に及んでおり当初説明があった内容と実際のサービスが食い違う例が殆どだという。
高齢の利用者が解約しようとしても、既に帰るべき自宅を売り払ったり帰るところがない場合、不満があっても実際にはどこにも行けないこととなる。
やはりこうした問題で考慮されるべき事は、終の棲家として安心した生活がきちんと描かれ想定されているのかどうか?が基本的に問われていると言えよう。
お年よりの体調が悪化して入院や退院をすることは当然考慮されなければならないし、その際にどういった対応が出来るのかをきちんと明文化しておかねばならないだろう。
病気が治療されれば安心して戻れないような施設は、とうてい利用者にとって相応しいものではないことは明らかです。

施設での生活は、他からはなかなか見えにくいものです。この点での施設生活の透明化について、どういった努力がなされているのか?施設側に問われている。
細やかな配慮がどの程度される環境が作られているのか?スタッフの対応を改善するためにどういった研修がなされているのか?施設でのサービスの量と質において再点検をしていく必要があると思う。

勿論、施設にも入れずに在宅にて困難な介護を続けている人達の問題もあるのだが、たとえ高額の費用を支払って老人ホームに入居しても、現在の生活が決して満足なものとはなっていないことに気づかされる。
施設の努力と、利用者等とのコミュニケーションも十分ではないのかも知れないが、まずは制度として高齢者が自由に在宅や施設の生活を選択できる社会環境を保証していく必要がある。
まだまだ、費用の点でこうした選択が出来ないことが多いだろうし、蓄え等が十分に持ち合わせていない人に対する国としての補助救済制度が不十分であることも明らかです。
何千万という桁外れの入居費用で、ホテル住まいのようなサービスを売りにしている高額施設はほんの一握りであり、こうしたサービスを受けることが出来る人はほんの僅かな高額所得者でしかない。
特別養護老人ホームに入居出来る人達も一部の人達だけであり、改善されるべきは一般有料老人ホームでの介護が本当に安心して暮らしがなされるものにすることです。入居している利用者の満足度がどういった意識にあるのかを一度事実に基づいて調査をすべきだと考えます。苦情の増大から推測されることは、施設内の様々な生活面で不満が増幅しており、それを改善するための制度が機能していないのではないか?と思う。
施設内での生活の総合実態調査を至急実施するための計画を、厚労省自治体はたてるべきであると考えます。

ミニトマトがやっと小さくいくつかできてきました。

兄から貰ったミントの葉っぱが、元気に緑色の葉っぱを広げています。