「疲労外来」初登場に思う。

疲労クリニカルセンターと呼ばれる、疲労専門のクリニックが大阪阿倍野区市立医大病院内に5月12日開設されることになった。この治療には、内科、神経精神科、脳科学など、幅広い分野の専門化が治療に参加するという。こうした専門外来は、世界でも類を見ない、らしい。



疲労というものは従来、診療対象とはされず、置き去りになっていた。しかし、慢性疲労症候群の病態解明を糸口に、疲労のメカニズムや、測定法、科学的根拠のある予防・回復法の開発が進み、文部科学省疲労研究班が出来た99年以降、飛躍的に盛んになった。

この4月から、研究班を母体にして、「日本疲労学会」が発足し、医学だけではなく、スポーツ、労働など幅広い専門化を交えて、疲労に関する遺伝子や、過労死予防などにも研究を広げる。



診察は週1回で、原則として此れまでにかかった医師の紹介状が必要となる。



診察方法として、まず、既存の病気にかかって居ないかどうかの診断が在り、病気にかかっている人に付いては、其の専門の先生・病院に紹介する。

次に明らかな病気が無いのに疲労感のある人は、慢性疲労の専門医がより詳しい検査と治療を実施する。



センターには、より詳しい疲労度を客観的に測定する疲労検査室もあり、過労死の予防なども研究する。99年の旧厚生省の調査によると、日本の就労人口約8000万人のうち、約3000万人以上が、半年以上の疲れが続いていると訴えている。

慢性疲労症候群」(CFS)の患者は、人口の0・26%と言われているが、此れに準ずる状態にある人が、約10倍は存在していると言われており、今後の研究成果の積み上げと、治療の進歩が注目される。



疲労のメカニズムは複雑であること、単一の診療科では対応が難しいことが挙げられ、基礎医学の協力も不可欠と言われている。科を超える全学的な対応により、疲労に苦しむ人を助けたい、とスタッフはこの医療の定着を目指して居る。当面は、他の病気が無い、慢性疲労の患者や、CFS患者を担当するが、糖尿病や、生活習慣病や癌、強い疲労感が合併した症例の人にも対象を広げてゆく予定とのこと。直、この疲労専門クリニックは、文部科学省の21世紀COE(中核的研究拠点)プログラム「疲労克服研究教育拠点の形勢」の一環。国際疲労研究センターを作ってゆく計画もある。



具体的に進展した、こうした臨床ケアーを進めて、多くの幅広い疲労性の患者に対する医療ケアーが進められることを期待したい。