"障害者自立支援法案"の問題点をあらう。

国会では、上に述べた法案が審議されている。この法案は、日本における障害者の法案として、一つの転換をもたらすものとされているが、それは、本当なのか?・・・介護保険の改正法案に関しては、其の問題点がある程度日の目を見ているが、障害者の法案については、まだまだ其の問題点が明らかにされていないのではないだろうか?

障害者自立支援法案』は、障害者が能力と適性に応じて自立した生活が出来るように、必要な福祉サービスを提供し、安心して暮らせる地域社会の実現、を目的に掲げています。身体・知的・精神・の3ツの障害サービスを一元化する事を狙って居り、今までの応能負担から、応益負担へと転換する事も合わせて規定しております。

定率1割の負担でサービスをつかうやり方は、例の介護保険の考え方と方を同じくさせており、行く行くは両制度の統一も射程距離の中に置いている。(政府案では、負担上限を設けて、最高で、月額4万2千円 施設利用者は、食費などを自己負担する方向が打ち出されている。



しかし、この案には大きな問題がある。

この案でゆくと、沢山の介護が必要になる障害の高い人には、(障害の重い人には)沢山の自己負担を強いる事となる。先進国の中で、こんな制度を採用している国は無い。障害者の中ではこの部分に猛反対が予測されている。

因みに、障害者の多くが貰っている月額66200円の2級年金、これは、生活保護の受給金額よりはるかに安い、此れでは、自立せよと行っても、とても暮らせないことは誰でも分かる。

家族や、親族で、資金的な援助が見込める人は未だ救われている。何処からも援助の無い障害者は、一体誰を頼りに生きていったら良いのか?此れでは、到底、障害者の自立を促進する法案とはなりえないことは明らかである。むしろ、現状の既得サービスを奪うものとなるのではないか?と危惧されている。



約70の障害者団体が加盟する、”日本障害者協議会"では、今年3月に、政策委員会を開き、今後は支援の必要度に基づく施策の確立を求めてゆくこと、今までの様な医学的な診断を中心に判断する事を止める。という報告書を出していると云う。

政府の方も、障害者の定義において、今までのような曖昧な規定を見直すことを準備している。

例えば、05年版障害者白書によると、日本では,身体・精神・知的を合わせて障害者の総数を656万人としている。人口の5%という事になる? しかし、この数字は、日本の障害者福祉の遅れを象徴するものである。



先進国では、概ねこの数字は、10から20%である。・・・日本には、障害者の数が少ないのでしょうか?いえいえ、政府の統計の土台が、障害者の現実を捉えていない、と云う事が本当のようです。米国では10%、豪州ニュージーランドでは20%、北欧では30%を超える国もあると云う。此れだけの違いを知れば、如何に政府の障害者をめぐる規定が時代遅れのものであるかが分かる。若し、私が、障害者になれば、当然、福祉政策の厚い国で暮らしたいと思うはずです。障害者の気持ちになれば、現在の法案の問題は深刻ともいえるだろうと思います。

巷では、郵政の民営化法案が取り沙汰されて居りますが、本当は、そんなことより、こうした、今後の日本の障害者の福祉について、もっと時間をかけて論議して頂きたいと思うのです。

勿論、障害者自身の意見をもっとよく聞いて、相応しいあり方を決めるべきだと思います。

障害者が、社会参加して、もっと仕事に付ける機会を得る事は必要であるし、それは進歩的な側面を持ちます。しかし、どうしても生きるために必要なサービスを一律的に”応益負担化”するやり方は少し乱暴ではないかと考えます。

こんなやり方では、障害者から「総すかん」を食らうだろうと思うのです。私達は、何故障害者の人たちと敵対しなければならないか?良く考えるべきです。障害者にとっては、この法案は、健常者の独断で決められる、ケシカラン法案、という事になるわけです。



もっと、もっと、健常者も、障害者の事をよく知るべきです。何が障害なのか?ということを含めて、健常者にはもっと勉強して頂く必要があるでしょう。この意味では,日本はまだまだ、先進国の仲間入りは出来ていない、と云えるでしょう。

「福祉後進国日本」、このレッテルを不名誉と思うのか、それとも、無視して、益々障害者を社会の隅に負い遣ってしまうのか、今問われていると思うのです。