シンガポール麻薬取り締りの厳しさをお忘れなく。

ヘロイン15グラム以上の密輸に対して、死刑が宣告される。・・・此れは本当の話です。シンガポールでは、12月の2日、ベトナム系オーストラリア人、G・T・パン死刑囚の死刑執行を行った事が明らかにされている。

シンガポールでは、外国人であろうとなかろうと、自国内で麻薬などの密輸を犯した者に対しては、厳罰が下される事となっており、今回、パン被告が、02年12月に、ヘロイン396グラムを運んでカンボジアからオーストラリアに帰る途中に飛行機で乗り継いだところを逮捕されたと言う。

25歳のパン被告に対して、オーストラリアでは助命を要望する運動が起こされ、議会でもシンガポール政府に対する減刑嘆願書が可決され送付された。APECアジア太平洋経済閣僚会議でも首脳会議で取り上げられ、リーシュンロン首相に減刑が求められたが、厳しい掟を覆すことが出来なかった。



此れだけの刑罰を与えるシンガポールの法律に対しては、色々反対の声も上がっているが、一向に、シンガポール政府は聞き入れようとはしていない。むしろ、麻薬に対する徹底した厳罰法を適用する事により、今日国内での不正な麻薬持込が封じ込められている事を自負している。



麻薬や覚せい剤を、暴力団等の資金源と結びついている事が指摘され、その取締りを厳しくする事については、誰も反対する者はいないが、15グラム以上の密輸に対して死刑を宣告する遣り方が良いと言う事とは話は別であろう。



厳罰制度を擁護する人たちは、厳しい法律が、社会的秩序を保っていると言いたいのであろうが、罪を憎んで人の命を軽んじる法律絶対主義に陥ってはいないか?

死刑を安売りして、麻薬を禁じるやり方は、可笑しいと思うのが正常な感覚であり、例え誤りを犯した者がいても、彼が、死に値すると言う判断は認められるわけにはいかない。



世界には、死刑制度を温存させている様々な国がある。そのそれぞれに言い分があろうが、だからと言って、死刑が必要であると言う論理には反対してゆきたい。罪を犯した人達にも命がありその命を尊重する義務が全ての人にあるのです。