S・ウィリアムズ氏の助命嘆願運動と、シュワ・知事の手腕。

最後の減刑権限を持つ、シュワ知事に下駄を預けられる形となった今回の助命嘆願は、死刑に賛成、反対どちらの判定を下すにせよ、痛みを伴う判例となりそうである。来秋での知事再選を目指すシュワ知事としては、ぜひとも超党派的な人気を維持してゆきたいと思っており、それには、死刑を止めさせる手続きをとる必要がある。



しかしながら、米国では、凶悪犯罪に対する根強い社会的制裁を支持する勢力が存在しており、そういった人達が共和党に多い。シュワルツェネッガー氏にとっては、こうした共和党の支持基盤を波立たせることは、来年の選挙に悪影響を及ぼすことになるだろう。この意味では、今回の判断において、助命嘆願を拒否する姿勢が求められる。 

しかし、盛り上がるウィリアムズ死刑囚の救済を、最後の知事判断で断ち切れば、人権団体のみならず、世論のひんしゅくを買うようになることも憂慮される。



今や彼(ウィリアムズ死刑囚)は、時代の注目するスター的存在となっており、勝手のギャング団の首領という前歴を超えて、時代に対するコメンテーターとしての役割を付与されてきている。71年に犯された、殺人罪をはじめとした訴追事件の判決趣旨よりも、現在彼が果たしている人権論者としての役割の方がはるかに大きい役割を果たしているとマスコミなどが取り上げている。



来る13日に、発表される知事の見解により、はたして、『トォーキー』が死刑にされてしまうのかどうか、今、アメリカ・カルフォニアは熱く注目を浴びている。



先進諸国の中でも、死刑実施率が高い国アメリカ。今、世界は、次第に死刑制度を廃止する方向へと流れつつあるが、こうした流れと、今回の判決がどういう形で交差するか?シュワ知事に課せられた判断は重い。



テレビ映画『贖罪』で同容疑者を演じた俳優、J・フォックス氏を初め多数の有名人を含めた32000人の助命嘆願も添えられているが、最後に判断をするのはシュワ知事。彼の、裁定が、来年のカリフォルニア知事選挙を大きく左右すると言って良いでしょう。

果たして、とちらの判断が下されるのかは、予断を許さないが、米国での死刑制度見直しが進められるためには、今回の判断が、死刑を避ける方向でされる事を臨みたい。