ユダは裏切り者か?真の弟子なのか?

ユダ裏切ってない?1700年前の「福音書」写本解読 (読売新聞) - goo ニュース



保存されている書物が果たして本当のユダの福音書になるのかどうか?この点については議論が分かれており、信用するに足るものとするには早計かもしれない。



もともと、ユダの書物については、異端の宗派で早くから物議をかもしていたが、第4の福音書とするには無理があるというのか一般的な見解である。

2世紀に異端の禁書として文献に出てくるが、実物の内容が明らかになったのは初めてのことであり、果たして史実の文献としてどれだけの信頼が置けるものなのか現時点では断定が出来ない。



今回取り上げられている文献は、3〜4世紀に書かれた写本で、1970年代にエジプトで発見された。現在はスイスの古美術財団で管理されているが、同協会が資金援助し、カッセル元教授らが5年間かけて修復、内容を分析したといわれている。

13枚のパピルス古代エジプト語(コプト語)で書かれたユダの福音書は、「過ぎ越しの祭りが始まる3日前、イスカリオテのユダとの1週間の対話でイエスが語った秘密の啓示」で始まる。

物語では、イエスがユダに、官憲への引渡しと、裏切り、福音書の記述までの指示をユダに語りかけている内容となっているという。・・・こうした指示が、果たして本当にあったのかどうか?ユダがそこまでキリストにより信頼される弟子としてとりはかられていたのかどうか?この点ではまだ異端という烙印を押されたままの評価が、今回の写本により覆されるものとなるのかどうか?之は誰にも判らない。





米国の科学教育団体「ナショナルジオグラフィック協会」は6日、1700年前の幻の「ユダの福音書」の写本を解読したと発表したが、果たして之が信用するに足るものであるのかどうか?大いに興味が湧く話題である。



イエス・キリストの弟子ユダがローマの官憲に師を引き渡したのは、イエスの言いつけに従ったからとの内容が記されており、その内容は今までの4福音書には書かれていない新しい見解である。(しかし、もともと異端派の文献としてこうした書物があることは判っていた。それがキリスト教としての正式の書物とは認められてはいない)今回の発見が果たして、之までの教義を覆すものとなるかどうか?



解読したロドルフ・カッセル元ジュネーブ大学教授(文献学)は「真実ならば、ユダの行為は裏切りでないことになる」と指摘する。内容や解釈について世界的に大きな論争を巻き起こすことになりそうだが、この”ユダの福音書”が公開されるなら、さらに大きな反響を呼ぶことになりそうである。



私の判断としては、今回のような書物は、昔から取り沙汰されている異端派の見解が時をおいて復活しただけのことであり、之が新たなキリスト教の教義に反映する問題とは思えない。話としては、ユダがこのような人間であることを想像するその想像力には感心するが、そこからユダを偉大な弟子と持ち上げてしまうことはどうかと考える。・・・やはり、ユダは自らの計算高い世俗的なエゴを併せ持った人物として捕らえるほうが相応しいし、そうした裏切りの思想を持つ人間がイエスの周りにも存在していたという事実は、昔も今もさまざまな想像力を書きたててくれる。



13枚のパピルス古代エジプト語(コプト語)で書かれたユダの福音書は果たして信用できる史実としての書物なのか?単なる複写された異端の書物なのか?

こうした疑問と未知の発見は、我々に多くの興味を湧きたててくれる。

今後の議論を継続して注目してゆきたいと思う。