二人の投げ合には見ごたえがあった。

駒大苫小牧の田中と、早稲田斉藤が国体決勝で再び顔をあわせ、投げあいのがっぷり四つで戦った。

どちらも、力のあるボールで接戦が続き、斉藤の放ったヒットが、結果的には田中から奪った貴重な1点になった。田中は試合後に語った。

「あいつ一人に、また敗れてしまった・・・」

来春からプロに入る田中投手にとっては悔しい高校最後の試合となった。

一方、斉藤にとっては、自分が田中と投げ合って、2回連続で駒大苫小牧に勝てたという大きな自信に繋がった。



ライバルの二人は、マスコミが加熱して取り上げるよりもはるか前方の未来を見据えているかのようです。

きっと彼ら二人は、何年かの後、彼らが共にプロとして名勝負を繰り広げてゆく大きな夢を見ているかのように思う。

これだけの素質と人気を一手に集中している彼らの今後がおおいに期待されるが、斉藤の4年間はプロ野球ではなくアマチュアでの活動だ。当然、注目度は田中の方が先行する。おそらく何年もしないうちに、パリーグを代表するような投手となる可能性がある。素質に磨きがかかれば、とてつもない投手になる可能性もある。現在の松坂などと肩を並べるような投手となるかもしれないからだ。



一方、斉藤のほうは、大学生活を続けながらの活動だから当然田中の華やかな活動の陰に隠れることになるだろう。・・・マスコミは、あれやこれやで斉藤を持ち上げて騒ぎ続けるだろうが、あまり週刊誌の話題になるような取材を続けてほしくない。もっと、彼を静かに見守ってやれないものか?ミーハー族の犠牲となって、斉藤の持っている良い素質が曇ってしまうのではないか?と心配だ。



大体、「ハンカチの王子」に仕立て上げて異常な過熱した人気を作り上げたのはマスコミの取材が一役買っていることは事実です。日本のおば様方は、すぐにマスコミの宣伝に載らされ、夢中になるから始末に終えない。・・・困ったことです。

彼が、非凡な野球選手としての好素材であることは事実としても、あんまりそれを過熱させるような取材はどうか?と思うのです。



斉藤選手のどこに、あれだけの粘り強い投球を継続できるエネルギーが潜んでいるのか?まだ謎のままですが、人間きっと欠点もあると思う。

彼の良い点は、どんどん伸ばしてやれば良いとしても、弱点というものは、必ずスポーツや野球では相手チームや球団が研究して、それを攻めて来るものです。



プロ野球のように、一度だけではなく何度も対戦するプロの試合では、負けることなく勝ち続けることは出来ないし、どんな負け方をするのかも結果を残す大切な必勝法と関係している。いわば、負け方の研究が勝ち方の研究へと繋がっていると思う。



田中選手と斉藤選手の対決は、まだ始まったばかりであり、今後もきっと投げあう場面が引き続くと思われる。

・・・きっと、やがては日本のプロ野球を沸かせるようなライバルとして、行き詰まる対戦を繰り広げることでしょう。



彼ら二人の名場面が展開されたことにより、また次の世代の野球少年たちが、次の世代の野球選手を育ててゆくことでしょう。



素晴らしい、試合をありがとう。怪我することなく、これからもそれぞれの道を歩んで頂きたい。

全国の、野球ファンに、また新しい野球の1ページを開いてくれたように思います。