ディープインパクトの引退に思う。

凱旋門賞で3着だったディープインパクトが、突然引退することをオーナーが発表した。同馬を担当する池江調教師でさえ知らなかった突然の引退は何故決定されたのか?この疑問に、未だオーナーは答えては居ない。





惜しくも優勝を逃したフランスでの戦いの後、ディープは次のステップを目指して鍛えられてゆく筈であった。まだ4歳であり現役のトップ競走馬として世界の強豪と凌ぎを削る戦いを可能とする才能は誰しも認めている。

来年、再来年と戦いを進めてゆけば、目的とした欧州G1の制覇と文字通りの実力世界1の称号は目の前にあったとも云えよう。



ファンの熱烈な後押しも期待できるだろうし、中央競馬会にとっては他にとって変えることの出来ない人気馬としてまだまだ貢献する可能性があった。



ところが、オーナーの金子氏は、ディープの引き際が今であることを察知し、惜しまれての引退を決意した。

調教師だけではなく、多くの競馬ファンがこの乳すを聞いて、何故、今ディープが引退しなければならないのかに大きな疑問を持ったことだろう。



競走馬というものは、500キロ近くの体重を支えている足に、100キロ以上の体重とスピードを最大限に出したときの圧力を常に受けながら走っている。一つ間違ってバランスを崩せば、大事故になり転倒し、骨折を引き起こすこととなる。まかり間違えれば、それが競走馬の命取りとなる。・・・この意味で、競走馬のオーナーは何時持ち馬を引退させるのかが大切な引き際の判断となる。6歳から精々8歳くらいまでが、サラブレッドの競走馬としての活躍期間でありそれ以降は引退して種馬になるか、乗馬クラブに売られて晩年をすごすか、牝馬なら牧場に売られて子供を沢山作り次の世代の競走馬を生む仕事をするのか?こうしたサラブレッドとしての行く末が待っている。



だから、華々しい競走馬の時期は、ほんの短い期間であり、そこで優秀な記録を作る馬はほんの一握りの馬だけである。

サラブレッドの生き様を見ると、人間に持て囃されるほんの一握りの競走馬以外は、目立たない厩舎の中で、人知れず生きていることを忘れてはならない。



ディープインパクトは、昨年デビュー以来無敗で、11年ぶり史上6頭目の牡馬クラシック三冠を達成した。デビューから無敗での三冠制覇は1984年のシンボリルドルフ以来実に21年ぶり史上2頭目の快挙であった。

確かに、彼の強さは、日本の競馬界では類を抜くものであり、今後彼の成績を越すような馬が何時誕生するのか?近い将来は考えづらい。

時間はかかるかもしれないが、必ず、次にまたとてつもなく想像出来ない強さを備えた馬が登場するでしょう。

10年後か、それ以上なのかは判らないが、次に生まれてくる天才馬が、又すばらしいレースを見せてくれる日を楽しみにしたいと思います。