代打逆転満塁本塁打。

月末31日のプロ野球、巨人VSソフトバンク戦で注目すべき展開があった。試合は、3対0でソフトバンクがリードし、7回巨人の攻撃の場面・・・一死満塁で次のバッターは?



このピンチに、王監督が先に動いた。・・・代打の清水が原監督からコールされたのを見て、すぐに佐藤を替えて、3番手篠原を告げた。

これを見て、次に原監督が動く、・・・まだ1アウトだからそのまま清水に歌捨てもあるのだが、迷わず右の代打に切り替えた。この代打の代打が効いた。



原監督から指名されたのは、根気代打で良い時にヒットを打っている矢野です。



今期矢野選手は、37試合に出場して、フル出場で出たのがたったの5回。後は全て代打でしか出ていない。自分より、能力がある選手たちがポストを占めており、実力でそれを上回る結果を出さなければ使ってもらえない。・・・こんな危機感が、矢の選手を奮い立たせていた。



彼は、自分を磨くことをやめず、試合前はいつも3時間前から球場に赴きうウェートリフティングなどを地道に繰り返して筋力を鍛えていると言う。通常、選手はあまり強い訓練を好まない傾向があるが、矢野は敢えてそれを続けていると言う。



こうした努力が少しずつ実り、結果が伴うようになった。今期の代打打率が4割を超えている。5月のはじめにも、中日戦で、代打ホームランを打ち、チームの勝利を呼び込んでいた。5月は、矢野の活躍で、巨人は貴重な勝利を幾度も手繰り寄せていることが分る。



今年の巨人は、(正直自分は巨人のファンではないが)やはりどこか違う。

今までの、負けだしたらとまらない弱さが消えて、勝負強い若い選手たちが必死にがんばっているのが見ているものに伝わってくるチームになった。

・・・こうなると、チームのムードも良いムードで試合を続けることが出来る。少しばかり負けていても、簡単に勝負を諦めない強さが備わってくることになり、そこに劇的な逆転などが生まれる下地が出来てくるようです。



5月の交流戦を、巨人は4勝3敗で勝ち越したという。

中日との差は、1・5のまま。

両チームの攻防はまだ継続するだろうが、1段階優勝に近いところに立っているのは巨人のようです。

今年は上位3チームによる最終トーナメントがリーグ優勝を決める形となるらしいが、どういう争いがなされるのか?楽しみです。

矢野のようなベテランが、今後も試合に味を出し、単なる点数の取り合いの裏で行われる各プロ選手の努力と技術がどういう形で表現されるのか?楽しみはつきません。



贔屓のチームが勝利することは、ファンにとっては他に変えられない喜びではありますが、単なる勝ち負けだけではない試合の展開にも興味がそそられる。野球の醍醐味(スポーツの奥深さ)は、結果を出そうといろいろな努力と汗と涙を見ることにより、見ている人に感動を呼ぶ。

筋書きの無いドラマではあるが、より良い筋書きを作るために各選手は日夜努力を積み重ねている。

これからの暑い夏、選手たちは連戦の試合の中での疲れと、暑さとの戦いが始まる。しかし、その中でも地道な努力を積み重ねている選手がいるからこそ、プレーに味が出る。ちょうど、おいしい料理に隠し味があるように、スポーツにも隠し味のようなものがあるんだと思う。

天晴れ矢野、敵ながら天晴れです。