書籍名: 大逆転の痴呆ケア
カテゴリー: 評論・エッセイ
著者名: 和田行男
発行年: (西暦) 2003
出版者: 中央法規出版株式会社
値段 : 1500-2000円
投稿日時: 2006/11/26 21:57
感動度 実用度 娯楽度 ファッション度 難易度
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆ ☆☆☆
感想
著者の和田さんは、型破りの介護を提言しているようだが、読み進んでゆくと不思議な魅力に取り付かれてしまうものです。
福祉系の大学や学校に勤務する教授さんたちは、難解な言葉や概念を振りかざして、普通の読者が人間を理解することに対してさまざまな位置づけに拘るものだ。
言葉の世界に引き込んで、理念と抽象的な概念で理屈を捏ね回すことがしばしばあるが、和田さんは、そうした「書斎派」の人達とは異質な範疇にて活躍されている。
施設での介護経験と、グループホームでの経験から、痴呆の高齢者に対するケアーに関して独特の見解を提案しています。
お年寄りの、持っている力を信じ、どんどん自分たちで可能な日常生活の仕事をしていってもらう遣り方を採用されている。もちろん彼らを見守り、危険を防止するための介入は必要時になされなければならない。しかし、必要以上の干渉や関与は否定する。
東京都での初めてのグループホーム「こもれび」にて実際にお年寄りと関わりながら、和田さんは、今後の認知症高齢者の暮らしの在り方に関してさまざまな意見を提言している。・・・その一つ一つの言葉に関して、さまざまな反応があるだろう。・・・あまりかっこ良くも無く、綺麗に整理された理論でもない彼の言葉の端々を、どう聞くのかは読者の一人ひとりが判断するものでしょう。
最後に、前書きに記されている前書きの言葉の一部を書いておきたい。「僕は、この本の中で、痴呆という状態にある人のことを、”婆さん”と表現している。婆さんという字は「波の女」と書き、とてもステキな響きと意味を持つ。なお、僕が言う婆さんとは爺さんも含めた婆さんであり、こもれびの人だけを指しているわけではないこともご承知いただきたい。」和田さんにとっては、婆さんは喜びの称号として何時までも存在している。