マクド店長残業代裁判に見る日本企業の実態。

2月公園にて

1月28日、東京地裁にて争われていたマクドナルド店長の残業代の支払いに関する判決が下された。この裁判で被告マクドナルド社は全国に展開する店舗に約1700人の店長を配置し、彼らに過酷な労働を強いてその対価を支払わなかったことが指摘された。
店長として配置された人たちは、確かに一般パートや非正規スタッフとは労働条件が異なり月給制を取っているが、労働基準法で規定される8時間を超える労働に対して残業代を支給していないことが指摘された。店長とは名ばかりで、月に140時間近くの過重労働をさせられ、休みも満足に取れず60日近くの連続勤務をしいている実態が暴露された。・・・普通このぐらい働けば、それ相応の残業報酬が与えられなければならないし、何よりも働く人の健康が考慮されていなければならない。人がいないからといって、休みもなく朝早くから深夜まで働かなければならない過酷な境遇はまるで「現代版奴隷制度」ではないか?

マクドといえば、世界に股をかける米国企業であり、多国籍企業だ。

こうした大企業が、従業員に対してこれだけの非人間的な働かせ方をしている実態は、早急に改善を促されねばならない。なるほど、裁判ではこうした企業の在り方が非難され、最低限労働基準法にそった残業賃金が支給されるべきことが命ぜられた。・・・これは当然の判断だが、こうした訴訟が裁判で争われる背景には他業種においても多くの「偽管理職」が存在していることを示していると思う。

企業には正当な労働対価を支払う社会的責任がある。

このことは、単に法人税をきちんと支払うことだけにあるのではなく、従業員に対する労働対価を社会的に妥当な形で分配することにある。現代日本は、どんどん社会的な格差を広げており、かっての中流意識は希薄なものになっていることが指摘されている。雇用労働者は、上がらない給与に耐え、増やされる仕事量を必死でこなし、脅かされる健康維持をどこまで継続出来るのでしょうか?
・・・60から65歳まで健康で働かなければ年金もまともに貰えない。
ましてやこれから高齢化が進めば、手取りの年金額も縮小されることが懸念され退職すれば悠々と年金生活をする夢は、庶民からすればすでに断たれていると言わねばならない。社会的な所得格差が増大すれば、働いている間の所得だけではなく年金生活での細々とした老後においても果たして安心な生活が維持できるのかどうか疑われる社会になりつつあるのではなかろうか?

こうした現実を考えるとき、政治の世界においてももっとこうした社会的労働対価支払いにおけるルール作りが急がれる。

持つ者だけがどんどん肥え太り、持たない者がますますやせ細ることが放置されている企業の在り方に対して、厳しい法的規制を促したい。
民主党や野党は、もっと本腰を入れてこうした社会的不正を暴き、企業の横暴に対して戦うべきであろう。そうでなければ何時まで経っても働く者の権利を代弁する政党とはなり得ない。