アメリカ大統領選挙の虚構。

民主党の大統領候補選びが山場に差し掛かっている。当初有利と報道されていたクリントン候補が失速して、現在はオバマ候補が民主党候補として予備選挙の大勢を制しそうな勢いだ。22日のペンシルベニア予備選で、クリントン候補がサプライズの圧勝をしない限りもはや逆転は不可能と言われている。
一体何故、予想に反してオバマ候補が選出されることになりそうなのか?この理由は様々に言われているが、そもそもアメリカの大統領選挙というものが人気投票の側面を持っており、お祭り気分で候補者を選んでそのまま次期大統領にスポットを当てることが減速する米国の威信を少しでも高めることに繋がる・・・そんな仕組みが4年に一度企画されているだけのことかもしれない。

オバマ候補とクリントン候補は、同じ民主党ということで始めからそんなに根本的な違いを持たない政治家であったことを見るべきであろう。
ただ、新鮮味が窺えたのは両候補者も黒人であることや女性であることから、どちらが民主党候補に選ばれてもアメリカの大統領候補としては初めての選出になるということに尽きると思う。
一方の共和党が、相も変わらない保守層を取り込んだ「高齢候補」であることに比べれば、恐らく両党の決戦では民主党候補が次の大統領の席を獲得することになりそうだということだ。

ある意味ではアメリカの政治における米国民の批判や失望を選挙という儀式で更新して引きつける為の一大イベントとして大統領選挙が組まれていると言えよう。こうしたイベントに大きな期待をかけることはおろか、マスコミなどが揃って大統領選挙の近視眼的な報道を続けていること自体、真面目な批評家ならば冷静に批判することが必要と思われる。

また、最近以下のような発言が報道されていることに注目して欲しい。
オバマ候補は、最近パレスチナハマスに対する意見を聞かれたおりに「ハマスはテロ組織であり真面目に交渉相手として扱う組織ではない」という意味の発言をしたと報道されている。
・・・オバマ氏がこのような発言を行い、中東問題に対してブッシュとあまり違わないような保守的な見解をアナウンスしたことに注目しなければならない。
オバマはブッシュのイラク政策を批判して、あたかも戦争を終結させて平和外交を推進する機種のように扱うことは止めるべきであろう。彼は、イスラエル国家を肯定してパレスチナに対する迫害行為を公認する政治的見解を持っていることをしっかり見抜くならば、オバマイラク戦争反対は明日のイランに対する武力行為公認へと直結するだろうし、新たな「イラク戦争」を生み出す可能性は大きいと思う。どう考えても、彼が米国の新しい平和政策を遂行する政治家などとは呼べないわけだ。彼が黒人であるかどうか?ということに関係なく、米国の軍事的覇権政策は継続されていく。この事を考えれば、オバマには強い米国を救済する役割を認めても、世界と平和的な関係を築く政治家としてあまり幻想を抱くべきではないとみる方が得策だと思う。

クリントンにしても同罪です。先日もクリントン候補は予備選挙の討論会でもしイスラエルがイランに核攻撃を受けたなら、米国はイランに対する武力攻撃を検討すべきであると述べている。クリントン候補も、見せかけはブッシュに比べればリベラル的な立場を鮮明にしているかもしれないが、実際のところはいざという時には何時でも米国の強大な軍事力を他国に対して行使することに吝かではないのだ。

・・・こうして、米国における2大民主党候補の予備選挙におけるイベントゲームは、無意味なおしゃべりを長い間繰り返して米国民の注目を受け続けている。
しかし、こうしたお喋りはもううんざりだ。
米国民の中にも、こうした無駄な論議を止めて本当の意味での政治的改革を実行することを願っている人達はきっとたくさんいると思う。
両候補に対して、どんな幻想的な期待もかけることが出来ないこと、必要なことはアメリカにおける本当の意味での草の根平和勢力が台等する必要性があることだと思う。
まだまだ、こうした期待は裏切り続けられそうな気はいがあるが、希望を捨てづに米国での社会変革を見守っていきたいと思う。