貸金業広告のマスコミ再復活をどう考える?

no-mu2008-05-07


最近眼につき耳に付くものに、貸金業の広告がある。
一時、サラ金などの悪徳高金利が国会でも取り上げられ、社会問題となり、マスコミの広告も自粛されていた。・・・多重債務により自殺者も多数出て、サラ金等の高金利が問題となり、20%を超える高金利が法的に規制されるようになった。・・・闇金利がのさばる裏通りの金融業は今も地を這うように行われているだろうが、少なくとも表ざたでは昔のような高金利を合法的に取り立てることは出来なくなり、その分庶民にはお金が借りやすくなったと見れなくもない。しかし、実態はそんなに喜べる状態ではない。

たしかに、金利は18%前後に下げられ安くなったように宣伝されているが、良く吟味すれば銀行金利が0%の時代です。例え10%であっても貸金業者の利益は莫大なものとなる。公的な銀行業とは比較出来ない様な利率が業者の懐に入ってくる。

零細な事業者は、銀行などの正規の窓口からは事業運用資金などがなかなか貸して貰えない、増して月々の支払資金が枯渇すればすぐにも経営基盤が揺らぐことに繋がるので少々高い利率でも現金を借りなければならない場面に遭遇する。
借金がすぐに返済出来ればことなきを得るが、滞ってしまうと高い利率がじわじわと効いてくる。しだいに、利息を支払っても元金が返せなくなり負債が膨れ上がる。

こうして日本の社会でのサラ金業界は、まるで雨後のタケノコのように街にあふれている状態となる。
貸金業は、価値ある商品を作ることはなく、通貨を貸すだけで利益をむさぼることが出来るように工夫されている。
今日本社会からサラ金業が亡くなってしまったら、資金繰りに困る人達が多数存在し、お金を持たない庶民がわずかなお金を借りても容赦ない利子が科せられてしまう。18%余りの利率が3割近くの従来の暴利と比べると確かに利息は低くなりはしたがまだまだあまりにも高すぎる利率とは言えまいか?ただお金を融資するだけでこうした利益を得ることが法律で保護されている現状は多重債務者の苦境を救うどころか債務からの脱出自体を救済することには繋がりはしない。

テレビ等のマスコミでは、以前は自粛されていた貸金業の広告が最近また目立つようになり、特に10時以降の深夜隊には次々にサラ金業の宣伝が巧妙に復活し、広告業界にその紙面を多数占める事態を招いている。こうした現状が、若い世代のサラ金利用を促進し、国民全体の債務額を押し広げていることに繋がっていることは明らかであり、この事態は放置することは出来ない。
電車等の交通機関などの社内宣伝においても、不景気に伴う企業広告の減少により、貸金業会の宣伝が目につく。ちなみに、今日乗った民間鉄道会社の社内宣伝では、1両車内に3社のサラ金宣伝が観られ、右を見ても左を見てもサラ金の宣伝ばかりが幅を利かしている状態に眼のやり場を失くし、鉄道内での広告マナーを疑いたくなる事態に遭遇した。これほどまでにサラ金ばかりを社内宣伝しなければならないほど鉄道広告の依頼業者は枯渇しているのであろうか?・・・若い女優を登場させ、見た目を引かせるような工夫はしてあるが、そこで宣伝されているのは庶民への小口融資への甘い誘いです。
給料が上がらず、生活費を差し引いて小遣いを自由にするには厳しい暮らしの中で、どうしても少しばかりの自由になる小遣いが恋しくなる・・・こうしたサラリーマンの要求に対して敏感に甘い誘いをかけるのがサラ金業の宣伝であり、巧妙に融資への誘いがかけられる。

一旦融資を受けても、計画通りにきちんと返済をすることが出来る人は問題ないかもしれない。しかし、サラ金利用者の中のほとんどは、一旦利用が始まると元金の返済を完了できない場合が多く、債務は末長く持ちこされることとなる。

サラ金業が乱立する現状は、明らかに高すぎる利率を法的に認めていることに問題がある。また、借りる際の返済計画がずさんな形で契約されていることにも原因していると思う。銀行での預金金利が1%を超えないのに、どうして20%近くの金利が容認されるのか?融資を受ける者へのきちんとした借用教育を業者に義務付けることなくどんどんと貸し付けることが結果的には多重債務者を多数排出することになっている。
最近は、銀行とサラ金との連携までが見られるようになり、安い利率の運転資金を得られない中小業者は、やむを得ず高利の貸金業を利用し中ればならない現状は、以前とそんなに変わってはいない。
零細事業者や、低所得の庶民に対する貸出事業が、暴利をむさぼる民間業者ではなくNPO自治体等で運営される必要があると思う。
日本版“自立促進融資”が始まることによりきっと現状は打開される筈であろうが、まだこうした事業は見られないことが残念です。
ぜひ、こうした社会事業が早期に開始されていくことを期待したい。