企業が生き延びる事ってそんなに重要なの?

マスコミやテレビで、最近テーマにされている内容で気になることがある。
それはこの不況下において、どうやって元気を出す企業となるのか?をテーマにして、やれ「日本の技術力を見直せ」とか「こんな利益の上げ方がある」とか「私たちはこうして業績を伸ばした」などという特集を耳にするにつけ、そんなことに目を向ける事より、今職場から弾き出されている人たちの救済をどう実践するのか?が蔑にされてはしないか?と思うのです。

特に先日テレビでやってた特集では、「日本の先端技術は世界で最たるものだから、それを伸ばしていけば危機は乗り越えられる」といった内容の取材がされていた。
確かに、様々な分野で日本の技術力が注目されている部分も否定はしないが、そこだけを拡大して見てもそれがどうした?と言いたくなる。
発明や発見にしても日本だけがずば抜けて優れた仕事をしているわけでもない。むしろ、アメリカなどの技術力は諸外国の優秀な技術者を招いてそれを米国の研究所や企業で商品化したりするのがうまい。これはいわば米国の学術面でのマネージメント力が進んでいるからそれが出来るわけです。研究費などに対する資本投下も、日本とは比べ物にならない規模の資産を投下して学者連中を抱え込んでいるから、当然そこから生み出される商品力、科学技術の開発力が進んでいくわけです。
ノーベル賞を見ても、昨年は日本の学者のダブル受賞、一挙3人の受賞で大騒ぎしているが、米国などではノーベル賞学者はそれこそ掃いて捨てるほどいる。・・・こんな言い方をすれば失礼になるが、ノーベル賞をもらったからと言ってそれで国の英雄になるように扱われる日本とは土台が違う。

ちょっと有名学者が出ると、「日本人は世界で最も頭の良い民族だ」とでも言いたげなキャンペーを披露したがるところがどう考えても田舎国家に見えてくる。
日本人が素晴らしい才能を持っていることを誇大妄想する暇があるなら、日本人がどれほど恥ずかしい国際常識を海外旅行などで繰り広げているのか?考えてみた方が良いと思う。
大体見分の狭い人間ほど、自分やその家族・属する民族等に対して必要以上の拘りと事実誤認を肥大化させることが多いように思える。結果として現実を客観的に認識し把握することが出来ず独断が先行せざるを得ないことになる。彼らが行き着くところは、独断的な選民主義と他国家や民族に対する蔑視思想ではないのか?こうなると、いつか来た道への危険な社会へ通じる道の様な気がする。

昨年の夏ごろまでは、トヨタの好景気=史上最高の利益等が取り上げられており企業の中でも今日の様な危機感はまだ発生していなかったように思う。
しかし、この半年で一気に事態は変化し軒並み大企業(とりわけ製造業)の利益が激減しているという。・・・そしてモノが売れなくなると、最初に一番弱い部分である非正規労働者の首をはねだした。10月から3月までの半年で、実に8万5千人余りが職を失い住んでいた寮からも追い出しをくらい、この寒空の中路頭にあふれる人達が増加の一途をたどっているという。彼らを救うはずの雇用保険は機能せず(派遣社員の多くが、雇用失業保険をかけていない)社会的な救済法からこぼれおちている状況がある。

東京や名古屋では、そんな街頭に排出された人達の食べものと寝場所を確保するために「派遣村」を急きょ旗揚げしてカンパしているグループが紹介されている。
こうした事業は、本来国や自治体がやるべきことであろう。政治が貧困な裏返しにこうした運動がNPO等で行われだしたことは皮肉なものだ。
この国の貧しさは、国や公共団体が社会事業に対して後手後手の政策しか持ちあわしていないことに特徴がある。

マスコミ等で、時代錯誤な「お国自慢番組」を流している暇があるなら、まず取り組んでほしいことは職をなくし、住む住居を失って希望を失いかけている人達にきちんとした働く場所と住居を用意することだと思う。・・・一体どれだけの人達が路上生活をせざるを得ない状況に追い込まれているのか?その実態を見るべきでしょう。かたや庶民から見れば気の遠くなるような収入と資産を持つ一握りの連中が、自らの株券や資産が目減りすることに危機を感じて自己防衛に走っている現実があるのです。
・・・派遣や非正規労働者の解雇の前に、こうした経営者の取り過ぎている私財を出しつくして頂くことがまず先決だと考える。
こうした発言をすると、やれ過激な社会主義思想だと批判が出そうだが、資産家や企業経営者の所有の自由だけが先行して社会の富を独り占めしようとする行為を放置する国家がはたして本当の意味での自由な社会なのかどうか?基本に戻って一度考えて頂きたいものだ。

この時期、ベランダがあまりにも殺風景なので、冬にも咲く花を植えてみました。・・・桃の輝きオキザリスだそうですが、太陽が差し込んで温かくなると花が咲き、寒く冷え込むと花が閉じます。