試されているのは、「住民の知恵」です。

はじめに。
今日は、私の住んでいるマンションで、現在懸案となっている駐車場問題についてお話しします。
長くなるかも知れませんが、説明を続けていきましょう。
当マンションは、約52世帯が入居している10階建てのマンションです。借地50年貸与契約を地主さんとかわしており、向こう50年の住居権があるのですが、50年経てば更地にして地主さんに返還するという約束で建てたマンションです。
この契約により、通常のマンション購入費よりも安く入居することが出来ます。そのことは入居時にきちんと説明を受けており、50年と云えば、人間の半生は十分保証される期間なので、少なくとも自分の生存期間は此処で住み続けることが可能なはずです。子供の世代については、またそれぞれ自分で確保して貰えばいいわけです。

さて、話を戻しますが、駐車場スペースが、当マンションでは限られた台数しか当初から設置されて居らず、入居時に抽選で駐車場を使用することが決められました。外れた方については、近くの駐車場をマンション販売店が確保し、駐車が必要な方が駐車できるようにしたのですがここから問題が発生します。


(1)マンション内で駐車が出来なくなった人達が駐車希望者の何割か居られ、その人達が毎年の町内理事会にて見直し意見を上げていくこととなりました。
その意見を要約すると、「最初の抽選で外れて、近郊の駐車場を利用することになったことはやもう得ないこととして、ずっと今後もマンション内駐車場が使えないと云うことについては問題がある。再抽選の割り当て機会を設けるなど、合理的な駐車場使用方法を検討すべきだ。抽選に外れた我々だけが、いつまでも不利益を被るのは納得できない」
また、「管理費が各戸負担で徴収されているが、その中には駐車場の維持費電気代等が含まれている。車を乗らない住人も居ることだし、駐車場の維持費については車を利用する住人で負担をすべき者であり、今後の管理費のあり方についても再検討を要する」
「特に、マンション内駐車場が使用できていない人にとっては、管理費は同じように徴収され、駐車場は利用できずに外部の駐車スペースを借り続けている状態がある。此は不利益だ」
まあ、ざっとこのような意見が出されてきた。

(2)当初、入居時の駐車場の使用に関する説明では、販売会社からどのように説明されていたのか?を聞いてみると、二つの別の説明を受けていることが分った。
つまり、「一旦抽選で決まればそれで恨みっこ無し。駐車については以後おのおのが使用継続して貰うこととなる。」だから、入れ替えなどの話は一切されていない・・・
 この場合、一旦決まってしまえば、後の外れた人達は、空きが出れば抽選で選考して入って貰い、それまでは外部駐車場を利用して貰う。此は、当初の取り決めとして口約束をされていた。
しかし、別の人達によると、
「今回、一旦入居時の駐車スペース抽選を行うが、外れた人達の平等な使用権利を保障するために理事会等で駐車場利用に関する相談をして貰うことになる。だから、何年か後には、新たに駐車場使用に関する外れた人達の救済措置が講じられる。」

こうした説明が販売員によりされていたケースもあるという。
全く異なった説明が複数の販売員により説明がなされており、今では販売会社が合併して本当はどうだったのかを確かめるすべがない。

さて、こうした背景で先日この駐車場問題を巡って話し合いの会が持たれた。そこでは以下のような議論となった。
出された意見を整理すると。

①・入居している全ての人が車を持っているわけではないが、使いたい人が多く、スペースが少ない。従って何らかの駐車場使用のルール作りが必要となる。
②・当初の説明が定まらず、販売会社・管理会社としては住人同士で話し合って決めて欲しいというが、最初からきっちりと規約を決めて使用してこなかったことが7年目を迎えて現状維持を希望する人と、再抽選を希望する人とに意見が分かれ調整が難しい問題となっていること。
③・理事会が、こうした問題を適切に検討し問題解決のための方策を講じていたら良かったが、問題が拗れており、現在この問題では住民同士の争いごとになりつつある。こうした不和を解消しなければ、今後40年以上同じマンションに住み続ける者同士としてあまりにも大人気ないのではないか?至急解決策を検討し、継続的にこの問題を調整する機関を作るべきだ。
④・「駐車場問題検討委員会」(仮称)を設置すべきであると従来から意見が上がっていたが、歴代理事会はこうした意見を「その必要なし」として取り上げてこなかった。こうしたやり方は、駐車場問題をより深刻な問題と悪化させることになった反省をすべきだ。
⑤理事会に関わってきた人の意見として、この問題の検討は十分理事の中で話し合った。しかし多数決により、この問題についてこれ以上蒸し返さないことを決めてきた。此は間違ってはいない。私も、入居当初係の者から説明を受け、一旦抽選を外れたらそれは不運だがマンション内駐車スペースの利用については異議を申し立てないという気持ちでいた。外れた者は不満かもしれないが、始めからそのことは説明されてきたのだからやもう得ない。

まあ、こうして議論はたいそう盛り上がったが、要するに住民相互でこの問題を調整する能力があるのかどうか?試されているように思う。

駐車スペースが、現実に利用したい人の数だけ設置されて居らず、(2台目いこうについては別に駐車場を探しておられるも)限られた人が使用することにならざるを得ない状況下で、どうやって合理的な使用方法を継続するのか?此処が問われている問題です。このためには、規約を具体的に取り決めそれに基づき駐車場運営をするべきでしょう。

きっと、こうした問題を既に検討調整して具体的運営をされている住民組織もあると思う。こうした先例から学び広く駐車場の自主運営が可能となるような方法を講じていくことが求められている。

さてさて、当マンションでどういった話し合いが継続されていくのか?今は未だ予断を許さない状況ですが、少なくとも先日の話し合いを通して賛否両論それぞれの立場からの意見が出され、住民の半数近くの参加もあり現状把握をして貰うという点では一定の成果が見られた。
今後どうなるのか?改善のためのポイントは、マンション内駐車場の使用既得権を持っている立場の人達が、使用出来ずに外の駐車場を使い続けている人達の不利益を自分の問題として考えることが出来るかどうか?が問われているように思う。

この問題は、所有の問題とよく似ている。
駐車場という一定のスペースを利用する権限、それは本来利用できている人達だけが独占するものであろうか?
その駐車スペースを必要とする人達相互で合理的に利用できてこそ始めてそのスペースは有効に活用されたこととなるはずだ。
現在使用できている人と本来使用出来るはずの人、それが一つに合わさることが出来れば問題は解決されていく。
一部の人しか利用できず、除外された人に何の見返りもされていないとすれば、それは不平等以外の何ものでもない。
・・・土地であれ、山であれ河であれ環境であれ、全て人間も含めた生き物が使っているものです。誰もそうした地上のものを独占したり占有することは本来おかしい。ところがそのおかしいことが現実に放置されている?!

国境ですら、その線を引くことにより不利益を被るものがあるのなら、その境目は撤廃されることが必要だと思う。

今回、マンションの駐車場という身近な問題を通じてその利用の仕方を考える機会を持つことが出来た。こうしたテーマが十分論議され相応しい形で調整されることにより、住民相互がいがみ合わずに暮らしていける地域が形成されていくと信じます。
こうしたテーマを、他人事だと無視していてはいつまで経っても問題の解決は遠ざけられてしまう。

私個人の見解としては、こうした問題が論議されていく過程で、住民相互の信頼関係というものが少しずつ積み上げられていくようになることを期待したい。時間がかかることかもしれないが、そうした実績を作ることで、今住んでいるマンションでの住民相互の結びつきも深まっていくのではないか?上手く意見調整が進む事ばかりじゃないかもしれない、でも諦めずに意見を出し合い、改善方法を具現化していきたいですね。試されているのは、「住民の知恵」です。

マンション近くの歩道の垣根に植えてあるこの黄色の花たちが一斉に咲き乱れています。
今日は、久しぶりに休暇を取り朝から花の撮影に散策しました。沢山の花が咲き乱れており、行き交う人達は通勤のためか足早に通り過ぎていきます。本来ならば、自分もその一人として通り過ぎてゆくただの人ですが、今日は花たちの姿しか目に入りません。時間を忘れて夢中にシャッターを押し続けていたんです。