川本昭人監督作品「妻の貌」について。

土曜日なので、私は今日の休みの過ごし方をどうするか?迷っていた。
明日は選挙や研修会が控えているので、今日中に他のことをしてしまう必要があり、ごろごろしていると一日はあっという間に過ぎてしまう。

そこで第7劇場のスケジュールを確認すると、今日が「妻の貌」の上映初日ということで、自分が見たい映画に出会う。朝は10時からの始まりなので、8時半には出発しなければならない。
慌てて、洗濯出来た干しものをベランダに運び、一通り干してしまう(土曜日は、私が洗濯物干しの当番なので)
すぐさま電車に乗り、いざ第7劇場へ。

今日のお客さんの入りは、30人くらいだったでしょうか?
特に高齢の方が目立つ。(私も、もう高齢の部類にはいるのですが?自分ではまだ若い?と自認している)

さて、映画の総評ですが、この映画、題名の通り、奥さんの顔が2時間の間頻繁に映し出されている。被爆前の母親と笑っている顔、戦後の子育てをしている若いお母さんの顔、年配になり、姑を介護している家の大黒柱の奥さんの顔、旦那さんに愚痴を吐きだしている妻の顔、それから被曝により甲状腺癌に侵されて苦悩する顔・・・そうした女性の表情が克明に記録されている。

決してドラマチックな場面が映し出されているのではなく、数十年の生活における節々の情景が普段どおりに移されている。
だからもちろん登場人物は、普段着のままの人達であり、特別の装いや化粧をするわけではない。冠婚葬祭が映し出されることもあるが、それは実際の記録です。

こうした記録の中心は、川本監督の妻におかれており、タイトルも、顔ではなく「貌」とされている。
・・・この映画を見ながら、何度もうとうと目を閉じて転寝をしだした。それは筋書きがつまらないということではなく、緊張感を強制しない柔らかな映画製作者の穏やかな流れが底にあるからです。

介護していた姑が亡くなる場面が終盤にあるが、家族が号泣するわけでもない。98歳という天寿を全うする生きざまにどちらかというと聖なる尊厳を感じさせる亡くなり方です。

被爆者を扱う映画では、とかく悲惨な被爆直後の情景が描かれ、その惨い映像に胸をえぐられる経験があるが、この映画は少し目指しているところが異なる。
あくまでも、映し出されているのは川本家の家族の映像であり、家族が織りなす人的な交流場面の映像です。
そして、その中で焦点となっているのが彼の愛する「妻の貌」なんです。
・・・どう表現すべきか分かりませんが、どこか温かい感情が伝わるのを感じる映画です。

*技術的にいえば、少々効果音楽が散漫で、頼りない実感があり、それなら下手に音楽効果は入れない方が良かったのでは?と思うが、それは趣味の違いだけのことかもしれない。

この映画、多くの方に普段着のままで見て頂きたいと思う。
82歳の川本昭人監督にエールを送ります。

http://www.tumanokao.com/comment.html


*PCに向かっている時間、あと2時間ほどで選挙運動が終了するから、さすがに次から次へと選挙カーがやってきては候補者を連呼しだしている。じゃかましいことこの上ないのだが、最後の時間だからどの陣営も必死なんだろうとお察しする。
やっと自民党政権が与党から野党に格下げになる?選挙となるだろうから、その意味では記念すべきものかもしれないが、そうした結果に一喜一憂するよりも、今後の政治変革を確かなものにして頂きたいと念ずる。

写真は、今朝、朝顔の葉っぱに隠れているカマキリ君を発見しました。
どうやら、お目当ては大好物のバッタ君らしい。昆虫類の世界では、弱肉強食の道理で成り立っているんですね?それにしてもでかい!

それから、先日お散歩で見つけたヒマワリを取りました。
夏の曇り空とヒマワリ、季節感がありますね。

秋の花、コスモスにも出会いました。こちらは、これからが注目の的です。