二転三転する認定調査方法の行方は?

ご承知のように、今年になって4月に認定調査の調査方法が変更され、それが半年たって、10月に2度目の変更がなされることとなった。
何故、これだけぶれるのか?
ここでは専門的な変更点の詳細は省くことにする。
詳細に関する問題そのものではなく、何を変えようとしてきたのか?を問いたい。
当初、従来の要介護認定調査では、調査の地域や調査員の記述により要介護認定がぶれていたとされ、認定調査における判断基準を変えることにより横ぶれをなくすことが目指されたという。そのうえで、要介護認定が、適正な介護度となるよう、障害の状態、心身の能力を測定し、そのうえで記載することとされた。具体的に、下肢や上肢を動かしどこまで動作が可能なのか?がその場で確かめられ、その結果が記載される。・・・こうしてふたを開けられた4月からの改定が、実際には判定が低く出てくることが懸念され、スタート時から批判含めの改定となった。・・・そこで厚労省は、「暫定措置」と称して、たとえ要介護認定が下がる事があっても、事前に希望すれば従来の介護度を維持できる措置を更新調査の場合に適用することとされた。

この「暫定措置」については、一方では従前の介護度が維持されることによる安堵感を喚起するものとなったが、もう一方においては、「厚労省は本気で認定調査の改定をする気持ちがあるのか?」と及び腰の態度を批判する現場からの声も上がっている。
・・・認定調査員は、度重なる認定調査方法の変更により、まさしく引き回されている。半年で、2度目の変更がなされることは認定調査そのものの必要性が改めて問われているのではないか?と本質的疑問が浮かび上がってくる。

日本の認定調査において、障害の度合いにより生活面でどれほどの支障があるのか?が調査されるが、地域や家族の個々の社会環境要因は配慮がなされないところに、現在の認定調査の一面的なあり方が指摘されている。
家族の介護力が十分にある人と、一人暮らしの人とは当然暮らしている生活条件が異なるのだが、現在の調査方法ではそれがきちんと加味されていない。

さらにもうひとつ、認定調査の必要性も今再検討される必要があるだろう。要介護度が判定されても、サービスをどう使うのか?はケアマネジャー等がアセスメントを通じてケアマネジメントし、ケアプランを提示する。・・・これは、いわば2重の構造として介護を受けるシステムが機能していることを示している。果たして、こうした2重のチェックは必要なのか?それとも無駄なのか?
むしろこうしたダブルチェックを失くして、ケアマネジャーを中心としてその人の支援会議を持って策定し、それを自治体等の公的機関が承認する方法として改善できないのか?今こそ考えていく必要があると思う。

白澤教授のブログにおいて、この点が述べられているので、興味がある方はぜひのぞいて欲しい。
http://blog.goo.ne.jp/sirasawamasakazu

この10月から、再々変更された認定調査方法が始まる。
認定調査を受け持つケアマネジャーは大変だ。
9月いっぱいは4月からの変更様式で調査し、10月1日からは、改正された方法で調査をしなければならない。それぞれの質問項目の中で、具体的な判定方法が変わり、特記事項の書き方も判定の基準も変わる。
そうした変更点を、一つ一つ確認しながらの調査実施となり手間のかかり具合も否応なしに増大する。
・・・だから、今ケアマネさんたちは頭を抱えている。
車の運転操作方法が繰り返し変更されているのと同じで、こうした手間のかかるやり方を強いている責任は、いったい誰なのか?と問いたくもなる。
私個人としては、認定調査そのものが財政の無駄遣いに思える。
認定調査員、審査会の費用は一体どの程度の費用をかけているのか?・・・そこでかかっている費用を他の必要な費用に振り分けたら例えば居宅介護支援の赤字運営も解消するのではないか?
そのためには、ケアマネジメントの質を上げ、グレードを引き上げる必要性があり、そうなればケアマネジャーが文字通りの介護保険の要として機能する制度となるのではないか?

大体、介護保険制度の要の職種が、自立できない制度って一体何なんでしょう?介護の最前線で働くスタッフが、低賃金で転職しなければ食べていけない制度っておかしいんでは?
・・・この間ようやくこうした日陰に社会的な目が注がれ、改善が行われ始めている。しかし、まだまだ現状では問題ありだ。

民主党さん、日本の介護を本質的に改革するために、後退することなく介護労働者の処遇改善をすすめるべく、法的な整備を断行して頂きたい!
そうでなければ、「日本の介護は、大変なことになりますよ!」と言わねばなるまい。
口先だけの改革で、お茶を濁さないで!
この願いは、全ての日本の介護労働者の願いなんです。