今日の体育の日に因んでか、テレビで王・長嶋の半世紀を収録した番組が報道されていました。
強い巨人軍の中核であった二人の才能は、今更述べるまでもないが、彼らがどういう経路で現役を選手として過ごし、引退し、次に監督として第２の野球人生を過ごしたのか？収録されている映像からは、多くの名場面が映し出され、華やかに勝利に酔い喜びにあふれた顔と苦悩に満ちた姿も垣間見ることが出来た。
野球選手と云えば、一昔前は少年の誰もが夢見た花型スポーツであり、その中で１軍の中核を担うポジションを守りぬくことは至難の技であったろう。まして、「栄光の巨人軍」の最も華やかだったＶ１０を演出した二人の軌跡は、誰もが文句のつけようのない巨大な足跡であった。
王にも長嶋にも、自分が切り開き任されてきた役割をよく理解していた。
だから、監督になってチームが好成績を上げる事が出来ない現実について、人一倍悩み選手の更なる努力を求めた。時にはそうした要求が独りよがりな指導に映り、監督としての指導力が問われることにもつながった。チームが勝たなければならない宿命にありながら成績が低迷することにより、長嶋も王も監督辞任の挫折をしている。
しかし、再度監督に復帰して、長嶋は日本１となり見事復帰して頂点を極めた。その記念すべき試合が２０００年の日本シリーズであり、王監督率いるホークスと日本シリーズを対戦した。
しかし、承知のように長嶋は脳梗塞を患って半身麻痺となったが地道なリハビリにより今では杖なしで歩行が出来会話も出来ている。確かに発音は分かり辛いが、彼の表情をしっかり見て聞いていれば十分言葉は通じている。彼は障害をものともせず、前向きに人生を生きている。
こうした長嶋の生き方を見て、多くの障害を持った人々が勇気づけられていることも事実だ。「彼はかって私達のスポーツのアイドルでした。でも今は自分にとっての輝く北極星です」との言葉が番組で語られていました。この言葉は、交通事故により障害を負って歩けなくなった男性が懸命にリハビリをやり続ける中で語られた言葉です。挫けそうになった時、長嶋のことを思い出すことにより、又歩き出すことが出来る、だから長嶋は今も輝いているという。
挫折して動かなくなった自分の体、それは事実としての障害であるが、気持ちまでも障害を負うかどうか？は自分の気持ち次第なんだということを示してくれている言葉です。
長嶋が示した、リハビリに対する執拗な脇目を振らない努力は、同じ障害を持つ人々に対するエールとなって届いていることが分かります。
また、王にしても同じです。
胃癌になり、手術をしてまた監督に復帰し、死力を尽くしてチームの再建に貢献し、笑顔で監督を引退したのが去年でした。
病魔との格闘は、おそらく選手としての戦い以上に大変な精神的ストレスを味わったことが彼の痩せてしまった風貌の中に示されている。
選手時代、まん丸に油が乗った王選手の顔が、癌を患ってからは四角い年齢を匂わせる容貌に変貌していた。
あれだけのホームランバッターであった自分の選手としての経験が、そのままチームの選手に通じないジレンマ、努力だけではついてこない勝負の彩、人には言えないプライドとストレスの狭間の中で、可能な限り監督業をこなす努力をささげた。
しかし、ＯＮは、現役を退き今悠然と彼らの軌跡を振り返って語っている。
最後に映し出されていた、巨人時代の玉川練習場でホームベースに二人バッターボックスに立ち打撃ポーズをとる姿が映し出されていた。
王が片足打法でホームランを放つ姿が彼の頭の中には今再現されていたに違いない。
長嶋の脳裏には、９回ツーアウトから逆転の一打を放った時の感動がよみがえっていたことだろう。
・・・この番組を見て、あらためてＯＮの偉大さを実感させて頂きました。最後まで、自分が出来ることを淡々と取り組んでいく彼らの姿には大いに学ばせて頂くものがあるようです。
とかく栄冠を勝ち取った華やかな姿だけが、スポーツ選手の上に注がれ、生涯を通じた人間としての軌跡に関しては、報道がなされていないものだが、今回人間長嶋、人間王の姿が映し出されていたのが興味深かった。
よく云われることだが、競技でトップを勝ち取るのはほんの一握りの人たちだけだが、そこまでのドラマを演じるのはプロとは云え報道される表側にはほとんど出てこない人達が沢山いる。多くのそうした切磋琢磨する選手の競り合いの中から、新たなヒーローが生み出されていく。
・・・こうしたスポーツ競技の戦いを、世界の人々が争いを止めて熱狂することの中に、尽きることのない興味がこれからもずっと繰り広げられる事でしょう。
わがマンションの１階ロビーにきれいに活けられた季節の花が咲いていました。・・・いつも、すがすがしい季節の香りを生け花にして楽しませてくれています。（これ、いつもボランティアでやって頂いているんです！？）
