原発再稼働は、止めるべき!

 関西の近隣都市に隣接する関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の原発再稼働を、野田政権は進めようとしている。
再開の引き金になっているのは、予想されるこの夏場の電力不足状況にある。気象条件にも左右されるが、もし1昨年並みの猛暑の夏がやってくる場合どんなに消費を抑えても足らなくなって日本全体の産業・生活に重大な影響を及ぼすのではないか?というのが、政府が心配する問題であることは明らかだ。{試算では、関電管内で19.6%(606万キロワット)の電力不足になるらしい}

 しかし、問題は不足する電力についてどういう作戦で少ない電力消費社会としての指標を示すのか?が問われている。
単に、電力が足らないから原発再稼働しかないという論理ではなく、足らないなりに、どういう社会の運営方法があるのか?について見通しを含めてあるべき提案をするか?どうかが問われているはずだ。こうした、安全を最優先にした社会規範を、民主党の執行部が置き去りにしようとするところに無理がある。

 従って、この答えが短絡的に原発の再稼働に偏っているところが、一番の心配の種であり、当然ながら近隣の首長たちは猛反対をしている。
彼らが疑問を提起するのは当然で、専門家によるきちんとした安全確認がなおざりにされて、まずはこの夏の電力不足に対応することが優先され、行うべき丁寧な検証は後回しにされていることは乱暴極まりない。
これでは、東日本大震災の経験が真面目に反省されているとは言い難い。

 橋本市長は「民主党原発再稼働に踏み切るなら、選挙で政権を倒すしかない」と息巻き、滋賀県嘉田知事も「結論の出し方が乱暴すぎる。政府は本当に大震災の教訓を生かしているのか?」と反対しているが、この原発再開問題については野田政権の早期再開方針について大きな懸念が残る。

 産業界でも、生活の中でも、電気をふんだんに使わずとも生活が維持できる方法は多々残されていると思う。風力、地熱、太陽熱等の自然エネルギーはまだ豊富なエネルギーを内蔵している。そうした安全なエネルギー開発及び発電技術を育てる風土を、日本こそが早期に構築する必要がある。
 ところが、今度の再稼働方針は、安易に原子力発電所の見切り発車を促すことであり、原子力発電の科学的な検証を曖昧にしての決定と言わざるを得ない。
もちろん、必要な電気消費を抑える必要はないと思うが、様々な生活の知恵、産業エネルギー消費の知恵があるはずなのに、そうした工夫に最大限の努力を傾けることがない「政治判断」については、大きな疑念を頂く。

 例え民主党政権を選挙で取り除いたとしても、問題は何も解決されることはなく、対決していく必要があることは、原子力エネルギーを使い続けようとする産業界の考え方そのものであろう。その方針を180度転換する考え方が今最も必要ではなかろうか?

原子力エネルギーに頼らない、次の社会政策の基礎を、今こそ構築して頂きたい。それが、日本を含めた世界の産業が安全に発展するための条件だと考える。