日本政府の、血の通わない被爆者認定について考える。

61年前の広島・長崎の原爆による被害を受け、被爆者健康手帳を取得している人は、全国で約27万人を数えるという。実際に、原爆投下により被害を受けて亡くなったり後遺症を受けた人の数はおそらく100万人を超えるだろう。人類始めての核爆弾による人体への影響は計り知れない影響を与え続け、放射能による後遺症・癌などの疾病発症は後を絶たない。2世代、3世代への悪影響・放射能の被害がどのような影響を持つのか?それは今後数十年のデータを積み重ねないと判らない。現在分かっている範囲でも、被爆者の子、孫に癌等の疾病が多発していることが確認されている。
・・・果たしてこれらの疾病が、原爆の被爆によるものなのか?別の要素から来ているものなのか?その因果関係は未だ解明されていない。日本政府は、27万に及ぶ原爆後遺症を訴える人たちに対して、僅か1%の被爆者認定(2200人)を判定しただけで、後は請求申請を却下している。

何故、60年以上原爆の被害に苦しみ、健康被害を申立てている人を救済する認定を下さないのか?理解に苦しむところだ。
・・・こうした、厳しい認定方法が、果たして妥当なのか?科学的な判定方法に裏付けられていると強弁するなら、その”科学的判定方法”は何の為の方法なのか?原爆の被害に今尚苦しむ人を救済しない、もっと突き詰めれば、最小限度の認定でしか国家としての責任を果たそうとしない現在の国の認定のあり方は、果たして”温かみのある制度”と言えるだろうか?認定率を切り下げて、国庫の支出を押さえているとしても、それを喜ぶ人が何処にあろう!原爆の被害者は当然年を重ね、既に亡くなってしまった人たちが過半数である。今後彼らを早急に救済する事こそ、政府が一番に取り組む必要のあることである、この事を曖昧にする厚生省等の遣り方には断固抗議をしたい。小泉自民党政権および現政府の言うことと、実際に被爆者に対して行なっている”救済方法”の裏表、欺瞞をもっと明らかにし、被害者に対する認定を急ぐ必要がある。先日、大阪地裁では被爆者認定申請却下に対する不服申請は、9人とも認められる判決が下りた。この判決はまっとうな判決である。この判決の示すところを早急に活かしてゆくことが必要ではないか?今回の判決は、9人の被爆者の病状を詳細に検討し、国の責任を明らかにすべき事を指し示している。国は、この判決を重く受け止め、03年以降全国13地裁で計170人が訴訟を起こしていることを視野にいれ、控訴することなく被爆者の救済に踏み出すことを要望する。こうした認定が認められることにより、僅かではあるが、毎月の手当て支給額も上がることとなる。健康管理手当てだけでは、健康保険自己負担分が無料になること、癌など指定された健康障害で治療を受けると月額34000円が支給されるのみだ。
しかし、原爆症認定被爆者には月額137000円の医療特別手当が毎月支給されることとなる。決して多い金額ではないが、少なくとも今後の医療生活費の保証にはなるものである。・・・そして、何よりも認定が下りる事による被爆者の心の傷を癒すことである。61年前の広島・長崎の原爆による被害を受け、被爆者健康手帳を取得している人は、全国で約27万人を数えるという。実際に、原爆投下により被害を受けて亡くなったり後遺症を受けた人の数はおそらく100万人を超えるだろう。アメリカ軍再編のために何兆円も散在するお金が在るのなら、それより先に支払わなければならないことがあるのだ。高級官僚たちが膨大な年金・退職金を労せずして取得している現実を勅旨し、本当に困っている被害者に対する救済措置を優先する政治を実践すべきだ。自分の家族や、愛する友人が被爆者ならば当然それを切望する事は少し考えれば当たり前の事ではないか?何故、戦後60年経っても未だこうした直ぐ実施すべき保障がなされていないのか?疑問を禁じえない。現在の政府の認定全体に対して、抜本的な改革が必要と思われる。この制度改正をする事が、本当の意味での改革であり、小泉首相が言う改革は偽者であると言わざるを得ない。早急に、血の通った原爆認定方法へ転換すべく、制度の大改革をすべきである。