一人から始める老人ケア  

 

書籍名 :一人から始める老人ケア  

カテゴリー: 評論・エッセイ    

著者名 :ブリコラージュ編集部  

発行年:(西暦) 2003  

出版者 :雲母書房  





この本は、生活とリハビリ研究所が発行主体となっている。勿論、之は三好春樹氏が主宰する介護の学習組織であり、それぞれ地域での実務に就いている人々が参加している。

既存の研修の中からは何か飽き足らないもの・・・?それを求めて様々な模索を通じてこの学会に集まった人が多い。

この学会は、誰でも会員になれるが、一つ制限がある。「先生」と呼んだり呼ばれたりする関係を否定している。この関係を持ち込む人は会員として相応しくないとされる。大学の先生であろうが、一回の介護ヘルパーであろうがみな同じ地平で考え、ものを言える。人は学び学習するときに社会的な上下関係を持ち込む必要はない、と言うのが基本的なこの会のベースである。



ところで、将来介護の仕事を自分で立ちあげて見たい?と考えた人は多いはず。・・・この本は、そんな誰しもが一度は体験する思いを実際に実現するために遣ってきた人達の報告です。志がほぼ適った人も居れば、まだ途中の人もある。しかし、共通して言える事は、皆最初はゼロから出発し自らの強い気持ちを頼りに進んできたと言う点だ。自分の力だけではどうにもならなかったものが、人々の協力と支援により、一つ一つ実現してゆく喜びを綴った物語です。

・・・若いそれぞれの試みが、今後も常に順調に進むわけではないでしょう。しかしどんなに困難な現実に突き当たっても、彼らはまた新しい発見をするだろうし、個性的な舵取りをしてゆく事と思います。こうした彼らの試みこそ、日本の介護を本物にしてゆくためのキーワードが隠されている。

介護は研究室の中の理屈ではなく、お金でもありません。それぞれに生きてゆく高齢者と、それを見守る人々とが織り成す様々な共同体をどう創ってゆくのか?之は他人事ではなく、私達一人一人の問題でもあります。