ウェブ人間論 (著者:梅田望夫・平野啓一郎)

 

書籍名:   ウェブ人間論  

カテゴリー: その他        

著者名:   梅田望夫平野啓一郎  

発行年:  (西暦) 2006  

出版者:   新潮新書  

値段:    600-800円  

投稿日時:  2007/01/07 10:00

本のサイズ: A5版

感想   感動度   実用度  娯楽度  ファッション度  難易度

☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆  ☆☆   ☆☆☆     ☆☆☆☆





感想

●32歳の作家と47歳のウェブコンサルタント昨年暮れに対話をし、急遽刷り上ったのがこの本です。

この本は、世代と言うことで言えば、若手のウェブを屈指する世代の、先駆的な役割を果たしている二人の対話により作られたものですが、単なる対話と言うよりも、今後の時代を見極めるうえで非常に興味深い内容を含んだテーマが盛り込まれていることに気付きます。・・・読んでいて、これはそうかな?これは違うんじゃない?などいろいろと自分も参加したくなる気持ちが湧き上がってくることでしょう。まだ読まれていない人は、ぜひ一読を進めます。

梅田さんに関しては、カルフォニアのシリコンバレーに住まれ、年に4回ぐらい日本に立ち寄られる生活をされていることから判るように、米国と日本を股に掛けた暮らしをされていて、生活は1日に10時間はウェブ上で「住んでおられる」生活をされている方です。知る人ぞ知る現在のネット社会の専門家と呼べる方です。私も、実はこの本を読んで始めて彼の存在を知り、是非『ウェブ進化論』を次に読んでみたいと思っています。彼のことを詳しく知りたい人は、梅田さんのブログなど読まれてみても面白いかも・・・?(http://d.hatena.ne.jp/umedanochio/)



もう一人の対談相手の平野さんは、ご存知京大出の芥川賞作家。インターネットにも詳しい若手の文壇を象徴する小説家ですが、結構ウェブにも詳しい。・・・この平野さんが、去年梅田さんの『ウェブ進化論』を読み、非常に感化され今回の対談を提案された形跡があると話されています。



●最初は、探りあいのようにインターネットやウェブのテーマが語られるのですが、だんだんお互いの持論が表明されて二人の違い、考え方の相違が浮き彫りにされ盛り上がる。

二人の考え方の違いは、今後の「ウェブ2・0」を論じてゆく過程ではっきりしてくる。

梅田さんの場合は、ウェブ上での可能性に明るい未来を予測する立場をとり、今後ますます進化するウェブの普及が世界を一新すると語る・・・。どちらかと言えば、オプティズム派か?何と云っても、シリコンバレーに普段の活動拠点を置いて最新情報を確認しながら日本でも影響力を与えている人物ですから目が話せない。



一方平野さんのほうは、まだまだこれから円熟を迎える30代前半の作家ということで、今後どういう成長をされるのか?予測できない資質を有する自分物・・・ぜひ彼の著作に関しても一読する機会を持ちたいと思います。



彼はウェブの技術を屈指することにより、現実の矛盾を少しでも変えてゆこうとする立場であることが表明されている。完全に架空の世界(ウェブの世界)に埋没することを危惧して、現実世界との架け橋を確認しながら現実を捉えてゆこうと考えられている。この意味では彼は絶えず現実の世界にしっかりスタンスをおいてその上でウェブの特性を生かしてゆこうとする生き方のように思える。



きっと、読まれた方は一気に読み奨める書物であることと、1回きりの読み物であるというよりもこの本を媒介にして今まで気付かなかった問題やテーマに出会う?・・・そんな文庫本です。

私のような勉強不足の者の場合、何度も注の解説を確認し、分からない横文字の意味を照らし合わせながらの読書になる。ところがそれが、あまり苦痛と感じさせない本です。久しぶりに、若い知性が日本から育っていることを実感させていただきうれしかったです。めげずに、自分のペースで向学心を失わずやってゆきたいと気付かされました。