ヘルプマン 第1巻  (著者:くさか里樹 )

 

書籍名:    ヘルプマン  

カテゴリー   その他        

著者名:    くさか里樹  

発行年:   (西暦) 2004  

出版者:    (株)講談社  

値段:     500-600円  

投稿日時:   2007/04/10 22:44

本のサイズ:  A6版

感想   感動度   実用度   娯楽度  ファッション度  難易度

☆☆☆☆ ☆☆☆    ☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆      ☆☆☆





感想



介護保険の見直しは3年ごとに行われる。

2000年の保険開始から始まり、2003年には所謂複合型の訪問介護算定が取り止められた。

身体介護に対しては、厳密な位置づけが求められ、一方の生活支援については90分以内という箍が填められ、最低限度の時間に限定されて長時間の生活支援を算定できない形にされた。

また、2006年には居宅介護支援の担当利用者数を逓減制とし、35人の事業所平均担当数を超えれば、減算扱いとした。担当数については、今までは多くの利用者を囲い込めばそれだけ収益が増えたが、今後は、一定の利用者数管理と、プランの中身が問われることとなった。

また、予防サービスが開始され、増え続ける軽度の認定者に対して、介護認定と予防認定とを分けて扱うようになった。

・・・説明するときりがないが、このように7年間の日本の介護保険は常に変化し、その様相を変え続ける。・・・増え続ける要介護高齢者を、どのように社会で看てゆくのか?恐らくまだまだ変貌を続ける中で、果たして、生きがいのある高齢者社会を築いていけるのであろうか?



こうした疑問は、ケアーを担当する人達、およびケアーされる人達の中から様々な意見が出され始めており、こうした各界からの意見がもっと発信し続けられ渾然一体化されることにより、超高齢化社会の希望というものが見つけていける・・・?

これは未だ、途上であり、暗い前途なのか?明るい希望があるのか?答えは判らない。



ヘルプマンは、こうした過渡期の時代に於ける介護の問題を、される方と介護する方の両面から問題を浮き彫りにした作品だと思う。



ヘルプマンは、確かに漫画という形態をとっている。

でも、表現しようとしている内容は真摯なテーマを扱っている。

取り上げられているのは、介護の中で重要なテーマとされているものばかりです。認知症高齢者の増加と家族の崩壊、虐待と暴力、身体拘束、入浴拒否、所かまわない排泄、徘徊、物忘れ、転倒、骨折、骨粗しょう症など上げればきりがない。

一つ一つのテーマは、人それぞれの個性を持って出現し、誰かが介護をにない、誰かが介護を必要とする。



ヘルプマンの7巻(現在出版されているもの)を読んでみて、漫画の中の登場人物が笑い、泣き怒鳴り声を上げるそれぞれの場面が、あたかも実際に繰り広げられている日本での介護の問題を浮き彫りにしているように思える。漫画を読みながら、主人公と一緒に共感して笑い・涙する人も多いと思う。

でも、この漫画は、ストーリー全体を通じて、未来の介護に対する希望を示そうとしているように思う。

主人公の「仁」や「百太郎」が、本当の介護、真のケアプランを求めて事業所や高齢社宅で繰り広げる努力が、数々の失敗を繰り返しながらも着実に成果を積み上げている。



悩みながらも、多くの人と出会う中で、果たして主人公たちは目的とする介護の仕事に出会うことが可能なのか?その答えは、ヘルプマンを読む一人一人の生き方にかかっているように思います。

今後も、くさかさんの執筆を期待し、応援したいですね。

若い人から、介護される側の人まで、幅広い人達に読んで欲しい漫画です。