書籍名: help manヘルプマン8巻
カテゴリー: その他
著者名: くさか里樹
発行年: (西暦) 2006
出版者: 講談社
値段: 500-600円
投稿日時: 2007/06/04 00:24
本のサイズ: A6版
感想 感動度 実用度 娯楽度 ファッション度 難易度
☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
感想
待ってました。くさかさんの最新作、ヘルプマン8巻です。
これまでヘルプマンを読んでいる人には説明抜きですが、初めての人には少しコメントしましょう。
日本の介護問題に対して、正面から漫画で取り組んでいるのは、くさかさん以外には知りません。ヘルプマンシリーズのそれぞれは、単独のテーマにより構成されており、それぞれ今後の高齢化社会ではキーポイントとなる問題について物語が展開されています。
そこで第8巻ですが、家族がテーマとして扱われています。
核家族による、それぞれの立場からの人間の疎遠化が進んでいる。・・・
個人中心、企業社会中心に活動している個々の人達が、家族として果たして一体化した生活を営み続けることが可能なのか?・・・そこに、歪みが出来てはいないか?
物語では、ある家族を取り上げて、母親の介護が突然降りかかる中で脆くも家族の繋がりが崩れ去ってゆく現代社会の「家族」の弱さを描いている。
しかし、くさかさんは、単に悲劇的な家族のケースを描くことではなく、本来あるべき家族間の愛情や繋がりのあり方についてもちゃんと示しています。
フィリピンから日本に働きに来ている在日フィリピーナ達、彼等の中には、大学を卒業して日本に職を求めて遣ってきている知的エリートの若者もいる。・・・自分たちの国には在るべき職が無ければやむなく日本に出稼ぎに行かなければならない・・・
しかし、彼等は言葉のハンディーを背負いながらも、必死に働いてお金を稼ごうと努力している。こうした外国人労働者の一部である「ケアギバー達」、彼等の必死に働いている姿を作者はこの物語に登場させ、介護とは何なのか?家族とは何なのか?を語ろうとしている。
えてして、介護問題を語るとき、重苦しく難しい話題になるけらいがあるが、この第8巻を読んでいただければ、問題の本質は、そう捻くれた所にあるのではないことが判る。認知症にかかっても、身体的な障害に体が言うことを利かなくなっても、肝心なことは家族として、人間としてそれぞれの立場で人を思いやり支えあって生きていくことの大切さを、この本は訴えている・・・そんな気がするのです。*もし、本屋さんでこの本が手に入らない場合、アマゾンで注文されることをお勧めします。まとめ買いをすれば(1500円以上)、送料はかからないし、注文して2・3日で配達してくれます。便利な世の中になったものです。