地雷除去問題


もし、自分の生活圏や街を歩いているときに、仕掛けられた地雷で吹き飛ばされ、手足をもぎ取られた体で命が助かったとして、自分はこれからの人生をどう生きようとするだろうか?自分の体を動かすこともままならず、生きていくためには何事も人の力を借りなければならない状況の中で果たして人間としての尊厳を保って生きていけるだろうか?
…日本に生きる自分たちがこのように自問してみても、なかなかその答えを出すことが出来ないかもしれない。なぜなら、日本ではおそらく地雷原が不特定の場所に設置されていることはまず考えられない。
第2次大戦に米軍が落とした爆弾の中で、まれに都会で不発弾として発見されることはあるのだが、それらが爆発して人を傷付けたという話は聞いたことがない。
日本の現実は、戦争という状況から抜け出してすでに63年の年月が経ち、そのころの破壊された街並みや傷ついた人々の姿を記憶している人が次第に少数になってきた。だから、地雷がまだ設置されたままであるなどという物騒な話は、ここんところ考えたことがなかった。しかし、世界にはいまだ地雷が1億1000万個埋められたままであると言われており、とくにエジプトではそのうちの2300万個が埋められたままだと言われている。
また、そのうち1700万個がエル・アラメインからリビアの国境マトルーフ県までに至る西部に集中していると言われている。
これはかってドイツの軍隊が、ロンメル将軍とともにこのアフリカの地で連合軍と交戦した。
この戦いでドイツ軍がイギリスの部隊に破れてしまうのです。
先日の新聞に、地雷で両足右腕を吹き飛ばされ、両目失明したまだ若い女性が紹介されていた。彼女は遊牧民として暮らし家のそばで吹き飛ばされて負傷したのだが、地雷を設置した相手が誰なのか判らない。被害を訴えたくとも、誰にこの爆発の責任を求めたら良いのか?政府も世論も・・・世界の誰も助けてはくれない。彼女たちを救う答えが出ない。
**エジプトでは、こうした第2次大戦からの地雷原がまだ埋設されたまま人々が多数地雷の犠牲となっているという。公式発表ではないが、過去20年で8000人以上が死傷したと言われ、エジプト西部だけで戦後8000人が死亡したという説もある。
こうした地雷の被害は、まだ埋まっている地雷原が除去されない限り今後もその恐怖を無実の市民被害者に植え付けることとなる。・・・恐怖だけではなく、激しい怒りと憎しみが伴うことは避けられない。
新聞紙上に写されている、女性を見て欲しい。彼女を、このような体にしたのは誰か?なぜ彼女はこのような体にさせられねばならないのか?
この疑問に、私たちは答えていかねばならない。無差別に人々の体を破壊する地雷原は、もちろん動物たちも傷付けているだろう。一体何のために?彼らが何をしたというのか?
地球上のすべての地雷を取り除くには、何十年かかるのか?分からない。しかし、それは是が非でもやってもらわねばならない。
そのためには、地雷を設置した責任者たち(ドイツや英国等戦争責任国家)に十二分な補償をしてもらわねばならない。