雇用問題から、介護の人材確保を考える。

no-mu2008-08-01


130万人と云われる日本の介護分野で働くスタッフ・・・そのうち正規雇用の割合は極めて少ないと推測できる。大多数は不安定な非正規職員だから待遇面でも労働環境が悪い。
そうした中で、若い世代の定着率が問題となっており、せっかく介護の仕事について仕事を覚えてもらっても、すぐ辞めてしまう。
止める原因の大きな要素は年収の低さです。月々の収入とボーナスを合わせての収入が、ここ何年も上がっていない事業所が多数を占めている。むしろ、仕事だけが厳しく要求されて収入が減る逆転現象が起きている実態があり、それでも自分の仕事に踏ん張れる人もだんだん疲弊している。

来年の介護報酬見直しで、一体どれだけの報酬割増が期待できるのか?楽観できない・・・というよりも一部の職種以外は下げられる可能性すらある。居宅介護支援はおそらく何らかの形で割り増しが期待できるが、その分帳票面や人数担当などで制限が加えられ、実際のケアマネ一人当たりの収益増しがどれ程のものになるのか?不安の方が多い。

介護保険の要と云われたケアマネ業務も、これほどまでの収益上のリスクを抱えてしまうと、事業参入をするメリットが無くなっている・・・と言うよりもやりがいが失せてしまいつつあるのが現状です。
本来は、居宅介護支援事業所が単独でどんどん設立されれば、他の介護事業の併設事業としての制約を受けずに事業展開が可能となる。そうなれば、様々なしがらみから実現できなかった本来の「中立性」「独立性」を生かしたケアマネジメント業務が期待できるのではないか?と思う。こうした思いを抱いているケアマネさんは多い筈です。

現在、独立型の居宅介護支援を事業運営出来ているシェアーはおそらく数(3)パーセント以下であろうしそれ以上増える可能性が現在の制度ではない。・・・居宅介護事業は全国平均でマイナス13%くらいと聞いている。これは看板をあげても赤字覚悟で運営しなければならないことを示している。存続出来ている事業所は、おそらく人件費をその分抑えているか、少人数で運営して長時間労働を家内事業的に行っていることにより成り立っていると想像できる。

自治体や地域の支援が、たとえば休眠している公共の建物やスペースを居宅介護支援事業の為に廉価で貸し出すなどの工夫があれば、まだまだ改善の余地はあると思われるが、今のところそうした成功事例があまりクローズアップされていない。

訪問介護・通所サービスなどのスタッフの待遇改善に関しても、いくら時の厚生労働大臣が「介護スタッフの給与アップ」を叫んでもそれだけでは何の効果も生まれない。実際にどういう財源により人件費の為の加算報酬を出す、という法案を作成して作って頂きたい。何時行われるのか何も取りきめのない「介護スタッフの待遇改善案」では、事態は何も解決しないのです。

勿論保険料なり、消費税なりが上げられることになるだろうが、それを恐れていてはどんな改革もあり得ない。
行政の無駄や、防衛費の無駄遣いを削ることにより一般国民からの負担なしに待遇改善が出来ればそれが一番だが、そこまで上手くことは進まないだろう。

・・・こうした改革を進めていくためには当然政治も変えていかねばならない。
巨大化した官僚たちの優遇措置を是正して、より効率的な行政機構を再編する為には、現在の自民党公明党の政権では到底期待できない。当然民主党など野党の知恵を取り入れ、しがらみのない奇麗な政治をして欲しい。
こうした政治的な改革と、介護の分野でのスタッフ待遇改善は切り離しては考えられない。その意味での私たちの意思表示選挙での投票行為は本当に大切です。

介護スタッフが、もっと現場から自分たちの意見を発信する必要性を痛感します。どうせ駄目だ、聞いてくれないのではなくもっと工夫と対案を出すことが今後の自分たちの待遇改善にもつながるはずなのですから。

介護の問題を突き詰め、介護の世界で改革を積み上げることが出来れば、ひいてはそれが日本の社会自体の希望を膨らませると考えます。・・・こう考えていくと、私達が今突き当たっている壁はそれを解決して克服していくことがどれほど重要な意味を持つのか?想像できませんか?