「1千万人の輪」が、日本の高齢者社会の希望を切り開けるのか?

no-mu2009-03-18

経済不況と非正規労働者の失業問題が全面に出て、介護における報酬改定問題はどこかに行ってしまった感がある。
本来は介護スタッフの待遇改善が命題であったはずの報酬改定が、サービスの質をだしにして、複雑怪奇な加算が乱立されて事業所にとってもまか不思議で手間のかかる作業を強いられている。利用者にとっては、分かりづらい改正なので、ケアマネジャーの説明義務が盛んに強調されている。・・・ことのつまり、厚生労働省の出来の悪い改正方針に対して、その尻ぬぐいをさせられる役割はケアマネジャーとなるのです。この事態は十分予想できたことですが、最悪の事態が再現されることとなりそうです。
再現というのは、今まで2回の改正において、報酬ダウンにおいて苦い水を飲まされてきたのは常に介護スタッフであり、事業者の利益現役の説明に対して涙をのんで待遇の据え置きが続いてきたのです。通常製造部門の平均賃金から約10万円の月収の開きがありなおかつボーナスもろくにもらえない状態では、若い人材は育つわけがない。辛抱すればいつか待遇改善があるはずと職務に専念しても、自ずと限度というものがある。・・・この春、今度の改正の発表を受けて、介護の世界から退職していく人も多いと思う。誠に残念な現状です。

以下は、組合サイトの掲示板に投稿した声です。読んで頂ければ幸いです。

「介護報酬改正とは口ばかりで、実際には新規加算の算定で頭が痛い事務量増大に、今から悩み多き4月からの請求ですが、今新しい動きも出始めています。

NCCUのHPでも紹介されている、「介護1000万人の輪」運動が始動し出しました。
http://1000man-wa.net/

この会は、有名教授や評論家、消費者団体や労働組合、介護事業者や事業者団体、それに趣旨に賛同する個人などの集合体です。様々な主張の寄せ集め連合団体である以上、実際にどういう制度を作るのか?と言う具体的な問題になればおそらく一筋縄ではまとまらないだろうことは想像できますが、とにかく現状の介護保険では満足できない、これでは駄目だという1点で同意する人たちが集まっていると言えるでしょう。

こんなアバウトな団体に何が出来る?と辛口評価する方もいて当然ですが、こうした改正を促す団体が公然と活動しだしていることは注目に値すると思います。

「何でもっと早くこうした活動を強めて今度の改正にあわせて意見を上げなかったのか?」と疑問が残るのですが、今年の改正で全ての未来が決定されるというわけではないわけですから、一つの到達点としてみるならば、この苦い経験を生かして次の運動を作り上げる必要があります。

こうした中長期的な視野に立った、日本の高齢化社会の将来をしっかり見据えた介護保険制度を提唱する意味で、新しい改正のうねりを作り上げる必要性を考えるのです。

こうした観点から、今度の報酬改定をその基本において批判しつつ、新しい制度の提案を知恵を集めて作り上げたい、私もこう思うのです。

ともすれば後ろ向きの、マイナス思考が多数派を閉めてしまう今日この頃ですが、もう一度問題の原点に返り、未来に希望を持ってこの介護の世界にとどまり皆さんと運動を続けて行けたらと考えます。」

                                                                                                                                                              • -


桜の蕾が脹らみ始めた公園にて。野良猫さんが、澄まして此方を見ていました。