被爆体験の利用者との対話。

先日、ご自身が長崎で被爆された経験のある利用者さんとお話をする機会があった。
以下少し話の内容を紹介しよう。
○「長崎での被爆のこと、覚えておられるんですね」
●「私は長崎でやられましたが、女房は広島で被爆しましたよ」
○「じゃ、その当時は、別々に居られたんですか」
●「女房の実家が、あっちにありましたからね」
○「原爆による体の変調など、大丈夫ですか?」
●「お陰さんで、此処まで長生きできたんですから、私は充分みんなの分を生きてきました」
○「家族や知り合いの方が、沢山亡くなられたんですよね、でも、こうして長生きできているのは、ほんとに素晴らしいことですね。」
●「いつも思うんです。自分がこうして長生きできている、曲がりなりにも生かせて貰っているのは、誰からの見守りがあるからだと・・・」
○「誰かって、一体誰なんでしょうね?」
●「私にもそれは何の力なのか?判りません。神様の考えだからね」
○「きっと、死んでいった人は無念だったろうけど、その人達のことをこうして毎年供養する人達が居ることにより、きっと悲しい体験は語り続けられますよ。」
●「昔のこと、戦争のことを語るのは今でも恐ろしいことです。あの恐怖と不安は、今も忘れはしませんし、時には夢にも見ます。でも、こうして話をすることにより、何故か心が落ち着いてきますよ」
○「戦争は起こしてはならないこと、それを誰もが噛みしめることにより、辛い体験は生かされると思います。これからも、沢山当時の話をきかせて下さいね」

こんな会話を通じて、一つ質問を投げかけてみました。
○「オバマさんが、核兵器をなくす必要があることを宣言しましたね。あれを聞いて、どう思われますか?」
●「アメリカは核爆弾を何千発も持ってるんでしょ?それだけの数を保有しておいて、今更それを廃棄していくなんて云っても矛盾ですよね?
仮に今持っている爆弾を半分無くしても、ロシアなども同じように減らすとは限らない。
○そうすると、現実的には核の削減は困難で、最終的に核兵器をなくす試みは、無理だと云うことですか?
●「残念ながら、そう思わざるを得ませんね」

○「北朝鮮イスラエル核兵器保有しだしています。・・・そのうち、どこどこのゲリラも核兵器を持つ様になったりして・・・?インドとパキスタンの両方とも核を持っているし、どちらかがそれを使ったら核戦争に急速に発展するかも知れません。
こうして考えると、一寸先は、闇ですよね?」
●「はい、明日はどうなるのか誰にも判りません。
安心なんか、している暇はない。
恐ろしい世の中になっとるんですね。」

まだまだいろんな話が出ましたが、結論は、今の世の中安心なんか出来ないものだ、という話に落ち着きました。
自分の言葉で、戦争の悲惨さを語られ、思い出を語られる口調には、安易な安心感は見られず、底知れず不安を持つ核の時代を生きる被爆体験者の貴重な言葉として、これからも大切にその言葉の意味を考えていきたいと思いました。




ピンクの花は、珍しい。なかなか咲きません。