介護の仕事は、登録型雇用が相応しいか?

331万人以上の失業者が仕事を求めてあえいでいる。5%以上の失業率は改善されず、若い世代でも例えば高校卒業の就職率は4割でしかないと云われている。
普通に生活をしていく上での就業環境が、どんどん厳しくなり、専門的な技能や高い学歴を持たない人達には仕事を普通に確保して維持することが困難な時代になってしまった。

もちろん、この状況は国内だけの問題ではなく世界の国々、先進国でも常態化しており、開発途上国では健康や命すら軽んじられている生活環境が世界から見捨てられている。

介護の分野で考えると、介護保険制度が始まって10年余り、民間事業所が多く参入して介護労働者は一気に増大した。
しかし、その雇用形態は?と調べてみると、常用雇用で働いている人達は少数にとどまっている。殆どの人達は「登録型」雇用形態で仕事をしており、パート労働を含めると非正規で短期契約(半年から1年以内)の契約にて仕事に就いている人が多数を占めている。
訪問介護事業では、登録型ヘルパーがサービスの主力を担っており、何人かの担当を任されてその事業所のヘルパーとして働いている。
トラブル等が発生すれば、当然サービス提供責任者等が利用者のもとに走って問題解決に当たることになるが、登録ヘルパーが増えるとサービスの質にもばらつきが生まれやすい。業務上の連絡も電話等で事務的に報告されることが増え、事業所内で話し合ったり検討するモニタリングが十分行われていない実態も少なからず発生する。

介護報酬が、派遣されて仕事をしている間だけにしか算定されないので、その利用者の家までの所要時間や派遣事務所までの行き帰りの時間等は時間給に反映されない。企業によっては、生活援助や身体介護の時間給を恣意的に細かく明細分けして、あたかも移動に関わる人件費が支出されているかのように賃金体系を変更している場合もあるが、そもそもの報酬算定には、ヘルパー等の移動に関わる費用は算定されてはいない。

こうして、登録型のヘルパー制度には様々な問題を孕みながら、実態的には介護保険制度の特徴的な雇用形態かを呈している。

しかし、登録型の雇用で、果たして必要なサービスの質が担保されるのか?今一度洗い直す必要があると思う。
経営的には、こうした登録型の方が有利であるかもしれないが、待遇的には当然正規労働者に比べると低い。
安価な人件費により、事業としては安定を見るかもしれないが、福祉のそもそもの目的から考えて、本当はどうあるべきなのか?今一度見直す必要があると思う。
福祉のような、人的手間をかけ感情労働を伴う仕事には本来きめの細かい配慮と専門性が要求される。従って、労働の質に焦点を当ててこの問題を考えるならば、常勤者によるサービスの提供が最も責任ある体制作りにつながると云えよう。

ただ、問題はそうした常勤者主流の雇用と云うものを、現在の介護報酬が十分に保障していない現状がある。
結局は、報酬の問題に行き着くことでもあるが、それだけか?と云えば改善する方法もあるはずだ。事業者の発想を変えることにより、雇用の基本を常勤スタッフに切り替えることは不可能ではないと思う。
さまざまな仕事の仕方があることは、就業の自由を保障する意味で必要ではあるが、事業所としての主たる雇用形態をどうするのか?という問題は今後のサービス提供の質を挙げていく上で重要な意味を持っていると思うのです。

朝日が出る前に、いつもの場所へ行き、山と雲の色合いをとらえてみました。