さらにもっと対象者の中へ進んでいく使命を感じて。

確かにケアマネジャーはストレスの高い業務かもしれない。
客商売だと云えば、世の中にはたくさん存在しているが、介護の領域では相手は「草臥れてきた人間」ということで、古人間特有の癖があることがみそだ。
理詰めでこうこうでは次にこうなるから、こうしなさい・・・と説いても、対象者がそうすることにはならない。
理屈通りに人が納得すれば、そんな苦労のない話はない。
しかし、人の価値観や生き方は、単純なものじゃーない。
要介護度が高い人に対して、今後の生き方をアドバイスしていく場合、近づいていく支援者に対する信頼度がポイントとなるから、いかに対象者の信頼を得ているかにより、働きかけが受け入れられるかどうかの分かれ道となる。

コミュニケーションが上手くいっている時は、仕事全体がスムースに運ぶものだ。・・・少々イレギュラーな問題が起こっても、それを受け止めて対応方法を練る力が湧いてくる。
不思議なもので、そうした力はもともと自分に備わっているというよりも、どこからか湧いてくる力なのかもしれない。
人と人との関係の中から、不思議なエネルギーが出てくるのじゃなかろうか?
こうした力は、関わって苦労した人たちしか味わえないものかもしれないが、考えてみれば人間は一人で生きているわけじゃないから、誰もが様々な人間関係を作ろう中で経験していることではなかろうか?

違いがあると云えば、感じ取る感性かもしれない。

同じような体験をしても、きっと感受性の面で違いが出るのであろうか?

ケアマネジャーの場合、どちらかというと相手の主張を聞くことが多いから、受け止めることの中でストレスが何らかの形で蓄積されてしまう。
その蓄積されたものをきちんと整理整頓して、分類したり評価するスキルを備えておかねばならない。

そうした職業的な(受け止め力)や、(整理力)を身に着けることにより、予想できないような問題と対面しても、それをきちんとキャッチして次につなぎとめることが出来るようになる。

自分一人で何もかも解決できるわけじゃない。殆どのことは、自分以外の受け持ちの人達が解決してくれる。だからケアマネジャーが備えておかねばならない能力は、漏らさず主訴を受け止めて必要な担当者に分類して処理をしてもらう手筈をすることだと思う。

それぞれ、自分の得意な分野と不得意な分野があるだろう。・・・
大切なことは、自分をわきまえて過信することなく自分が効果をあげられるよう常に活動の在り方を見定め判断すること。

いわば、専門職たる加減が上手く操作できることが肝心だと考えている。
・・・できれば、持ち味が十分に発揮できるよう毎日を過ごしたい。しかし、そうはならないこともあるし、何度やってみてもうまくいかないことが続くこともある。・・・そんなとき、ともすれば気持ちがなえてしまう。

人間の脳の回復過程を経験すると、不思議に思えることがある。
夜、眠ることが出来ない中で様々な思いが悶々とよみがえることがある。
最初は単なる不安が続き、次第に苦しいまでの動機がしてくる・・・それでも眠れない場合、不眠の朝がやってくる。

こうした眠れない日が続いてしまうと、人は本物の神経疾患と呼ばれる症状を呈することになる。
私も、時々、こうした追いつめられた精神的な状態に自分がなりかけていることに気付くことがあります。・・・もし、そうした状態が長引いてしまうと、本物の精神疾患に行きつくことになるが、朝が来ると気持ちがなぜか落ち着いていることが多い。自分が抜け出す方法を見つけたのではない。解決の方策を見つけてはいない。でも、絡まった感情のもつれが解消されている。それは意味が見つけられないが、何にも代えられない安定です。

人は、朝の無垢の白さがあるから、また再び走り出すことが出来る。
私の場合、朝は新しい1日を始めるに当たり、貴重な魔法の力をほうふつとさせる体験がいつも備わっている。