No.2居宅介護支援の独立採算制について2

介護保険のサービス導入において、軸となるのは、ケアプランを立てるケアマネを於く、居宅介護支援事業所です。介護保険は、当初の狙いとして、民間活力の導入を目論み、利用者には、多くの事業者の参入により、幅広い選択の幅を広げると言う狙いが在りました。
制度がスタートして、1年ぐらいするとだんだん事業所の数も増え、ケアマネさんのほうも、制度化での役割をこなす事に慣れてくる。しかしサービスの質やケアプランの質が問われだしてくる。最初は、兎に角、サービスが行きわたること、継続する事にていっぱいで、なかなか内実を高めるところまではいかなかった。利用者のほうも、兎に角、サービスに来てくれれば◎・・・と言う場合が多かった。
訪問介護を例に出すと、最初は、家事援助と、身体介護の2本柱プラス、”複合型”と言う項目が在りました。これは、家事と身体のどちらともいえない、どちらのサービスも含む項目として設定されたのでした。
まもなく、この複合型は、あいまいなサービスを生むとして、廃止され、変わって、30分単位の生活援助と、身体介護の連続したカウント方式・・・具体的には、例えば、身体2生活2とは、身体介護は最初の1時間、そして、残り1時間は生活援助・・・と言うことになるわけです。身体介護は、30分よりカウントスタートし、生活援助は、60分よりのカウントとなって居ます。(正確には、1から29分が、身体介護1 30分から59分までが、身体介護2です。)各介護度の限度枠が設定されているので、そのサービスに必要な程度の時間が検討され、出来るだけ、長時間のサービスをなくして行くこともケアマネジメントの大事な項目となりました。昔は、各利用者さんに、べったり家政婦さんが付き添うと言うサービスは当たり前でしたが、介護保険では、必要なサービスを、限定された時間内で実施して、全体的な援助の調整をする事になります。
カウントの仕方が変わるたび、単位数の変更が変わるたび、ケアマネは、利用者と事業者に、その変更の周知徹底と、理解を促し、意見を調整しなければなりません。利用者のほうも、自己負担が、1割の割合で発生するので、負担の割り増しには、敏感です。サービス面での、無駄遣いをしないことも、大切な調整事項になります。介護サービスの利用において、本当に必要なサービスを必要な量において使っていただくことが大切です。
一つ例外が在ります。それは、生活保護の場合です。生活保護の利用者が、介護扶助として、介護保険の利用が認められると、利用者の自己負担は、すべて、公費から負担されることとなり、実質的な利用者負担は0円になります。
問題は、公費で支払われることで、いくらのサービスが使われても、利用者は、使い放題・・・?と言う問題が在ります。そこで、ケアマネが、しっかりアセツメントとモニタリングを行い、必要最小限のサービスが提供されておれば、良いのですが、得てして、自分の腹が痛くないサービスは、無駄に使われる場合が多いと思われる。又、事業所サイドから見ても、其処まで必要と思えないようなサービスが、きっちり自社サービスで継続されている事も良くあることです。・・・これが目に余ると、保険者の実施調査の折に、監査の目が光る・・・?分けです。
最初に述べて居たように、ケアマネには、50人と言う、基準の数が設定されて居ます。これは、50人が大体のお世話する数の目安であることを示して居ますが、50人以上の担当が違反であることにはなりません。従って、現在担当利用者の数が、それを超えていると言う例も多々在ると思います。ただ、担当人数が多いと言うことで、サービスの質が悪いとなると問題なので、先ほどいった、実施調査のときは、きちんとサービスの質が確保されており、記録等がチャンとされているか、調べられるわけです。普通は到底、50人以上の担当を持っていれば、必要なアセツメントや、モニタリングなど出来るわけないのです。ましてや、サービスの提供過程で生まれる様々な出来事をきちんと記録されて居ないと、”お叱りを受ける”ことになり、悪質な場合は、事業所の閉鎖も考えられます。
こうなると、いい加減に、数だけたくさんの利用者を抱えて、事業所の採算を高める・・・?と言うことは、不可能となり、ケアマネの立場から見ると、どんどん仕事が増え、お客さんからのクレーム処理と、経営者からの採算重視・利益誘導・お役所からは、適正なケアプラン作成の指導・・・と3重の苦しみの狭間で仕事を遣って行かねばならないわけです。因みに、私は、介護保険開始以来、ずーとケアマネとしての仕事を続けさせていただいておりますが、志半ばにて、仕事をやめられ、元の仕事や、サービスの仕事、あるいは、看護師の仕事へと変わられた人も多く居られ、見送って居ます。まじめな神経の方ほど、疲れられて、病気になる・・・と言うケースも聞きます。・・・其処で、最近は、ケアマネをサポートするスーパーバイザーが育成されてきております。
地域でも、居宅介護支援事業者の集まりが持たれて、自主運営化し、事業所を超えた専門職としてのサポート・研修が重要視されてきております。・・・でも、まだまだ、一人のケアマネが、しこしこ、一人で遣り繰りして、誰にも相談できずに悩んで居る・・・そんな事業所もたくさん在るのでは・・・と危惧するわけです。
・・・ケアマネは、利用者、介護人、経営者、医療関係者、自治体保険者等々話をお聞きする対象がほんと、広いんです。そして、話を聞くだけでは、ストレスがたまる。発散する相手が居れば、まだしも、聞いてもらえる人が居なければ、どうなるのでしょう?ケアマネも人間です。中には、上手に問題を処理し、皆に信頼され、順調に仕事が進んでいる人もいるでしょう。でも、私のような、出来が悪い、要領の悪いケアマネも、結構居るのではないでしょうか?<さて、さて、本日は、これにてお仕舞い、又、次回の、お話に付き合ってね!ここまで、読んでいただき有難う(●^o^●)