No.8 サービスの在り方と、自立の観点について(その1)

今日は、改正案の中で批判されている、サービスと自立との関係に付いて、考えてみたいと思います。

この問題に付いては、沢山の事例を参考にしつつ、実際のサービスがどのように、その人の生活に役立っているかを考えてゆきたいと思います。手始めに、今回は、幾つかの事例を述べてゆきながら、考えて見たい。



まず、Aさんの場合。

<病状経過>

御主人と二人暮し、脳出血後遺症で半身麻痺があり、殆どベット上にて暮らされています。息子・娘さんも居られますが、大半は夫が介護に当たられています。

言葉を上手く話す機能が麻痺しているため、自分の言いたい事を言う事が出来ません。相手の言う事への理解はきちんとされます。

特に下肢の機能が麻痺されていて、立ち上がる事はもちろん、車椅子に乗るときも、硬直している足が交差するので、大変です。・・・ですから、殆ど、日常、起きて車椅子に座られる習慣がないのです。

月に一度の往診があり、医師の定期的な診断を受けられていますが、リハビリなどはされていません。



訪問介護サービスの現状と問題点>

時々は、結婚されている娘さんが来られて、母親の世話をしにくる(週に1・2回程度)娘さんが来られると、御本人は大変喜ばれるそうです。でも、家族があるため、頻繁に援助に来る事は出来ません。

介護保険当初から、ずーと、訪問介護にて、夕方の時間生活援助のサービスを受けてこられました。一つには、買い物や調理といった、夫の負担を軽減する事が狙いでありました。奥さんの食事の準備のついでに、家族の食べるものも作る・・・事の是非が一つ、問題として在ります。どうしても、夫の食べ物も一緒に作ってあげるという形になってしまい、メニューも、別々の物を作り・用意する形になりました。・・・手間隙をかけるてんでは、本来、利用者の食事を用意し準備するという事にこそ重点が置かれなければならない事はそのとうりです。まずこの点での改善が何処までなされるか、ということがあります。



次に、利用者の生活をベット上の生活から、起こしてゆくために、どういう介護をしてゆくか?という問題があります。この点に付いては、家族の意見を良く聞き、どう関わってゆけるのかを考えてゆく必要があります。



Aさんのケースの場合は、家族や夫が、利用者への働きかけをあまり望まない事が挙げられます。障害が既に固定化しており、無理に起こして、本人に苦労をさせることよりも、安楽に過ごせるよう希望される・・・と行った家族・介護人の希望がある中で、どう支援してゆくか、難しい問題でもある。

現状では、家の方が望まれるよう、利用者への働きかけは、殆ど出来ていない。身体的な介助は殆どされていない。・・・確かに、本人の廃用性症候による、機能の低下が心配である。しかし、ディサービスや、外出を好まれない以上、援助者としても打つ手が無いのが現状なのです。



<まとめ>

今後の問題点としては、どういうかたちで、援助の改善をしてゆくか?

介護人等との、話し合いの中で、何処まで問題を詰めて行けるのか?

本人は、果たして、何を望んでいるか?

一歩踏み込んで、家族と利用者の介護について話して行く事の困難がこのケースにはあります。でも、それを如何改善して行くのかも、今後の、このケースに置けるテーマでもあります。



色々まだ、判らない事が多いのですが、現状の生活援助により、障害を持つ家族に対する、援助が少しでも継続されている事を誰も否定する人は居ないと思います。

ただ、より良い介護を如何してゆくのかという問題としては、まだまだこれから改善してゆかねばならないことがいっぱい在ると思うのです。

この方の場合は、”要介護5”です。サービスを自立との関連にて如何なのか、その必要性は如何か?今後も考えてゆきたいです。