no21医療と介護の連携とは何か

現在、医療保険と、介護保険とは、別々に制度として運営されている。

お互いに相容れない別の制度として機能しており、互いに相手の制度を受け入れない。

それぞれが、自分の土俵を持っており、「犯すべからざる領域」として其の領域を守っている。

確かに、上辺は、お互いの聖域を認めて、相手を尊重しているように見えるが、実のところは、互いに硬直した考え方で凝り固まっており、両者の制度の使い分けが一般の利用者には理解しがたいものがある。



例えば、通院が必要な御年寄りが、自分では歩けないので、ヘルパーに通院の介助を頼んだとする。

病院までの介助と、院内の介助、それから、診察が終わって、薬を貰って、家まで送り度どけてもらう。

こうした一連の介助を、介護保険ではすぐ遣ってもらえない。

介護度が、まず要介護度4・5の人で無い限り、身体介護を適用出来ない、ということになっている。叉、適用したとしても、それなりの理由付けがきちんとされていないと、不正請求とみなされる。ケアマネの仕事にはこうしたサービスの理由付けを如何に行うかが重要な仕事となる。



次に、院内での介助については、保険者(自治体)によっては、認めていないところがあると聞く。・・・でも、其の自治体では、院内での、必要な介助が希望されるとき、どうしているのだろうか?全て、其の病院で責任を持って介助しているのだろうか?叉、其の費用は何処から支払われているのだろうか?



今後も、院内の介助が1人でな出来なくて、必要となる人はどんどん出てくるはずである。それを誰がやるのか、介護の方で遣ってはならないと言う理由は何なのか?



通院をめぐっては、可也、見解が混乱している事は事実である。締め付けの厳しさから、病院内でのサービスを全面的に取りやめている介護事業所も出来来ていると聞く。

しかし、事業所の方は良いとして、介助を必要とする利用者はどうなるのか?一体誰が自分達の介助を満足にしてくれるのか、甚だ見通しが付かない現状である。



そもそも、医療保険が適応される病院内で、何故介護保険のサービスが遣られてはならないのか?介護ヘルパーが病院内で利用者を介護する事が何故禁じられるのか、その理由がはっきりしていない。



サービスのニーズが存在するのに、それが出来ないと言う不合理がある。

本来、病院内でもヘルパーが遣ってゆく仕事は様々に存在する。入院する利用者の身の回りの世話や、洗濯物、歩行の付き添い、車椅子の介助、排泄の介助等々、利用者が求める介護面でのニーズは実際は存在している。

しかし、にも拘らず、医療の中での介護サービスは認められず、タブーとされている。



この考え方の根拠は何か?

病院内の家政婦が遣らねばならないことは、その内容から見れば、十分介護ヘルパーが対応出来る内容が多い。家政婦ではなく、介護ヘルパーが担当すれば、もっと上手く出来ることもまた多い筈だと思う。

しかし、あにはからんや、医療の中での介護サービスは禁じられている・・・此れは一体なんのためなのか?



前述している、通院介助の問題でもそうである。医療の中で、介護サービスを使うなと言うからおかしくなる。

必要な介助、必要なサービスを行うなら、それがどちらの分野であっても良いのではないか?利用者(患者)の立場から見れば、どちらの側のサービスであろうと、やって欲しい介護が在るのです。



問題は、医療の分野での、医師会の態度である。彼らは、自分達の特権的な決定権を何処までも維持していこうと必死なのだ。



硬直した、日本における医療保険介護保険の両分野を、いっそ統一して、一つの制度としてまとめてゆくことの方が利用者にとっては判りやすい。

叉、介護事業者にとっても遣りやすい。ケアマネジャーが安心して主治医と話し合いをする事が出来るようになる。



今のままでは、医師がケアマネジャーの要望に対して、十分に相手出来ない関係となってしまう。ドクターには、保険料が入らない話し合いや、意見交換を望まない事が多い。忙しさに感けて、点数化が出来ないケアマネジャーとの相談を好まないわけです。ケアマネも叉、ドクターとの相談を無報酬で行わなければならない。サービスの担当者会議は、点数化できないからです。

こうして、介護と、医療の連携が謳われても、実際は、それほど進んでいないのが現実では無いでしょうか?

この原因の根本は、両者の分離、硬直化にあると考えます。

従って、望まれているのは、医療・介護の統一による、分かりやすいケアーの確立です。こうした考え方と言うものを、何故、日本では進んでいないのか、不思議です。

恐らく、諸外国では、こうした制度が取り組まれていると思うのです。

残念ながら、手元には資料が無いので、叉、色々調べてお知らせする事にしたいと思います。