no26利用者を支えるケアマネを誰が支えるのか?

以前にも述べていたように、来年の法改正で考えて頂きたい事は、予防介護の問題にばかり目を向けないで頂きたいのです。



介護される状態を避けるため、少しでも健康で生きられるように考えても、長年生きてきた高齢者の生活改善は、そう簡単には改まらないと思います。・・・勿論、「だから、介護予防の措置がぜんぜん必要ないとは思いませんが、そこにばかり力点が置かれすぎていることを危惧するわけです。



認定の基準をより厳しくすることで、要介護の高齢者の増加はある程度抑えることが出来ると思います。

また、生活援助の自己負担率を個別加算として引き上げることにより、生活援助の総量を引き下げる方法もあると思います。



何でもかんでもヘルパーさんに遣ってもらいたいという我侭なプランは、全体の中で少数だと思います。保険財政のなかでどういった介護の切りつめをしたら良いのか、もっと議論を尽くして頂いて、必要な介護には継続の方向性を失わないで欲しいと思います。

5年前の、介護保険開始時には、「介護保険の要はケアマネジャー」と言われました。日本の介護問題を支える中軸としてのケアマネジャーの仕事に沢山の人材が赴きました。勿論、多数の事業者も居宅介護支援事業に賛同しました。・・・しかし、5年経って、居宅の仕事は、介護保険のなかでは、例外なく儲からない仕事となってしまいました。遣っても遣っても元が取れない事業としてはもはや継続できない、と言うことで多くのケアマネたちが撤退しました。また、看板を下ろした事業所も沢山あります。・・・2年前に、少し居宅介護支援の報酬単価が引き上げられましたが、まだまだ独立して営めるほどの単価とはなっておりません。こんな中でも、毎日、担当ケアマネたちは日々苦闘しています。どうか、がんばっているケアマネを見殺しにしないで欲しいと思います。

来年の改正時にぜひ加えて欲しいことは、主軸となるケアマネの支援体制強化についてです。

50人近く担当するケアマネにとっては、難しいケースや、遣りにくいケース、頭の痛いケースに対して、それを支えきれない現実があるのです。ですから、常に高齢者の苦情相談に足をとられるケアマネの支援体制を整備して欲しいのです。

実際、自分も、いろいろ難しいケースを担当し、家に帰っても寝られない様な精神的ストレスを受けた経験もあります。

どうして良いのか答えが見つからず、利用者さんと何度となく時間をかけて相談しても答えが見つからないことがあったのです。4・50件利用者を持っておられる場合は、恐らく何件かは、こうした難ケースを持たれている筈です。月末などにトラブルが持ち越されてなかなか解決の糸口が見つからないときは、大変追い詰められた気分になってしまいます。

一人の方のケースにずっと関わりきれない状況になるのです。旨くいかない時の訪問は、決まって話が拗れたり、袋小路に突き当たるものです。



利用者さんが、こうした苦しいケアマネの立場を考慮して頂ける場合は、恐らく難ケースにはならないのです。利用者がケアマネを慰め労わって頂けることすらあります。

問題は、いくら努力を重ねても、悪い方向へ進んでしまうときに、ケアマネ一人では解決の糸口が見出せないことがあるのです。こうした”どつぼ”に嵌ったようなときに欲しいのが、悩めるケアマネのよき相談者です。

来年からの、主任ケアマネの制度が、こうしたケアマネの相談役、援助スタッフとして機能して頂ければ、大変ありがたいです。・・・ケアマネだって人間です。辛い時や、ストレスが溜まったときは、休ませて欲しいのです。適当な時期に、必要な休暇が取れる体制を取る事により、また新たに取り組める勇気が湧いて来るのです。



来年の改定時には、ぜひ、ケアマネの精神的サポートを強化した改正を盛り込んで欲しいと思います。このメンタルなサポート体制が出来上げることにより、全体的なケアマネジャーの職場定着率は確実にアップすると考えます。そして、それが、ストレートに、各利用者への、良好なケアマネジメントとして跳ね返ってゆくと断言できるのです。物事は逆に考えれば、来年の改正が、ケアマネジャーに、唯多くの仕事を強制するものだけならば、ますます問題の多いケアマネジメントが利用者に提供されることとならないか心配です。



単にケアマネだけではありません。介護の現場で働く介護スタッフのメンタルケアーも真剣に考えてゆける体制作りを作って欲しいし、作るべきであると思います。

教育の現場での、教師の精神的ケアーが強化される必要があるように、ケアマネジャーのメンタルケアーの確立、体制整備が急務だと考えます。