no28ケアマネサポートシステムの早期整備を。

話を野球に例えれば、打者を抑えるピッチャーは、1人で投げぬくのではなく、何時でも救援のピッチャーを後ろに控えて投げています。だから、自分の持ち味を出して、可能な回まで投げるのですが、打たれだして、勝敗を左右するポイントでは、監督の指示により、投手の後退が行われます。



話をケアマネジメントに戻すと、それぞれの利用者に担当のケアマネジャーが付きますが、問題が起こり拗れ出すと相互の信頼関係に皹が入ります。お互いに相手の話を受け入れて解決の糸口を見つけられるのなら良いのですが、一旦問題が拗れ出すと、なかなかその修復は難しいものです。

この時、勿論利用者も多大な精神的ストレスを受けるわけですが、担当のケアマネから見れば、往々にしてケアマネとして考えている真意が伝わらなかったり、誤解されたり、感情的な縺れを起こしたりで、どうしようもなくなることがあるのです。

ましてや、高齢の利用者を相手とする場合、援助者としての言い分を伝えようとしても、きちんと伝えきれない部分がどうしても出来来ます。

どちらかと言えば、此方は利用者の聞き役に回ることが求められるので、ケアマネの伝えたいことは半分も伝わらないものです。



こうなると、ストレスが高いのはむしろケアマネの方です。コミュニケーションが良好に流れていれば良いのですが、不信感が増大する経過を踏むことになれば、次々と予期せぬ問題が噴出する事となります。



こうした、利用者とのトラブル発生において、ケアマネ個人としての調整能力には限界があります。個人的な能力の差も左右されると思いますが、殆どの事業所で1人あるいは何人かのスタッフにて切り回している事業所では、問題のサポートという意味で充分な支援が出来ないのが現実です。



トラブルの発端で、深刻な問題にしないための対処法が肝心ですが、運悪くトラブルとなってしまった時にどういう支援方法が取れるのか?この点が問題です。



現在の居宅介護支援の対応は、各事業所の管理者が、こうしたトラブルに迅速に対応することになっていますが、殆どの場合は兼務でケアマネが兼ねている事が多いわけです。



トラブル発生と時を同じくして、問題解決のために奔走しなければならないわけですが、電話など、デスクの上での対処により対応が可能ならまだしも、実際に利用者宅や家族さんなどとの面会、相談に走らなければなりません。

このトラブル対応には、多くの時間を割かなければならず、その間、他のことは横に置いて専念する必要が出てきます。・・・月末などの、忙しいときに重なると、事業所としての機能がストップしてしまうような事態になりかねません。あくまでも、トラブルを解決することと、毎月の定期的な仕事とはどちらも蔑にするわけにはいかないわけです。こうなると、残業や、休日出勤で補わざるを得ませんし、場合によっては、家に仕事を持ち帰る?等の非常事態になるのです。



私の場合は、休みを返上したり、仕事を家に持ち帰る事は、殆どしませんが、(それは、仕事をこなす意味では必要なことですが、ストレスを持ち帰るという意味ではマイナス面が懸念されるからです)遅くまでの残業で、夜遅くに帰宅することはあります。これは、本来は、する必要がない仕事ですが、(残業代が出ないという意味で・・・)事業を軌道に乗せて、業務の支障を無くすという点においては、止むを得ないと判断するとき、遣らざるを得ないのです。・・・こうしたサービス残業に対して、会社は何を報いてくれるのでしょうか?

ケアマネさん達の、無料奉仕に対して、若し、それを当然とする考え方があるとするなら、それは大間違いです。



ケアマネジャーに対して、理不尽な仕事を押し付けることにより、結局は、利用者に対するサポートの質が、磨り減っていることを見抜くべきです。経営者として、最善の質のサービスが提供されるように、ケアマネという専門職を配置し、仕事に付かせる責任があるのです。無理な休出や、サービス残業を強いる遣り方を放置することは、経営者の指導という意味で責任の一端を負う事になるのです。



提案してゆきたいのは、地域において、何時でも相談対応できる、ケアマネサポート体制の確立です。何処に相談すれば良いのか判らないような問題でも、担当ケアマネと一緒になって考えサポートするスタッフが必要なのです。

地域の区在宅センターが、そうした役割を担っていますが、未だその機能が充分とは言えないでしょう。来年から、”地域包括支援センター”が置かれるようですが、あまりにも多くのことを仕事に抱えているので、役割が希薄になることが心配されます。



こと、介護保険においては、現在のケアマネシステムにプラスする機能として、”ケアマネサポートシステム”を、是非全国的に各地域に機能するよう配置して頂きたいと考えます。



このことにより、ケアマネジャー一人一人の仕事の効率は上がると思います。利用者にとっても、迅速で、的確な調整により、トラブルの深刻化を防止する事となり、利用者の利益を守る事に繋がると思います。