介護起業の厳しい現実と課題を考える。

 先日、地域の事業所より、廃業=事業所を閉める報告が郵送されてきた。
その事業所は、訪問介護と居宅が併設された事業所として、5年間運営を続けられていた。しかし、先々のことを考え、このまま事業所を継続することを断念され、施設も持つ地域の大きな法人に吸収される形で事業所を閉じられることとなった。

 この事業所が継続できなかった背景には、いくつかの原因があるだろう。
その一つに、思うようにいかない利用者の獲得と、次の運営を任していく人材の不足があったと思われる。
 開業の際は、一度相談に来られ、1年ほど早くに開業した先輩事業所として、いろんなことを尋ねられ、これからの抱負をたくさん抱えて開業をされた。
 しかし、小さな事業所を始めてみると、実際の運営は大変です。弱音を吐く相手もいないし、少々体が辛くても休んでいることは出来ない。大きな組織では、難題は誰かに相談すれば、それなりの対応は組織で受け止められる。ところが、小さな事業所では、自分で考え、限られたスタッフで協力して問題にあたることとなる。数カ月の短い期間なら乗り越えて行けても、何年も続けることで、人間は疲弊する。
 廃業に至るまでには、きっと、悩みぬかれたことだろう。そのことを思うと、何も言えない。ただ、止めてしまわれることは残念だとしか言えない。しかし、こちらは、継続して運営にあたる立場だ。
 目標をもって開業したからには、一定のゴールに達するまでは簡単には止めたくない。
 実を言うと、現段階では、当事業所も赤字路線を驀進中だ。
利用者をもっと増やしていきたいが、増えない現実がある。昨年、二人のスタッフが辞めて、利用者もろとも持ち去ってしまったダメージが、まだ残っている。

 どうしたら良いのか?誰も答えを持たないし、成功のためのマニアルはどこにも書かれていない。自分たちの足で繋がりを作らない限り、見通しはない。このことを考えると、今回、事業所を閉鎖されたことが、他人事ではないと痛感する。(下手をすると、彼らの二の舞になってしまう可能性もある)

 自分一人の力では、結果は限られている。だから、大切にしたいことは、一緒に働くスタッフの知恵と努力を、一つに繋いでスクラムを組み直すことだ。
 最近つくづく思っている。これまでのように、事務所にいて電話の前に座っているだけでは、いつまでたっても何も起こらない。
 やれることを計画して、行動し、いろんな人に対して声をかけて自分たちの熱意を伝えること、それに尽きる。

 今回、自分たちと同じレベルの、地域の小さな事業所が閉鎖する報告を聞いて、改めて、明日からの業務に対する取り組み方を再認識していく契機としていきたいと思う。
6年前の開業した思いをもう一度思い出し、自分たちがよって立つところを再確認していきたい。
 公平中立な居宅介護支援事業所を伸ばしていきたい。
独立型の居宅介護支援事業所を、この地域で根付かせる必要性を、改めて自分たちの強みとしてアピールしていきたいと考える。