自殺率の低さで有名な所は?奈良県なんだ?

no-mu2008-06-29


へぇと驚いたんですが、奈良県は、ここ10年間の厚生労働省調べの人口動態統計自殺率で、全国で最も自殺が少ないことが明らかになったという。
人口10万人当たりの自殺者が、全国47位で18・0人だという。07年の警察庁発表でも、20・9人で神奈川県の20・8人につぐ自殺率の少なさが統計としてカウントされている。
軒並みに、10万人当たり25人を超えている中でなぜ奈良県が低い値を維持しているのか?その原因は以下の理由が考えられるという。

1・その地方の病気の傾向を比べると、自殺が多い東北地方などは脳血管疾患による死亡率が高く、この病気が原因で障害が残り寝たきりになり介護をしなければならない。・・・こうしたことを考えると、奈良県の脳血管疾患が低いことと相関関係があるのではないか?

2・自殺予防の対策としていのちの電話などが公的に設置されているが、奈良の場合79年から設置されており歴史が古い。1日平均70件に上る相談が24時間対応の3台の電話にかかってきており昨年実績で24941件の相談に応じている。こうした自殺を防ぐための相談窓口が地域に定着していることも、自殺率低下の一つの要因となっているのではないか?と言われているという。

3・アルコール消費量との比較において、自殺率と因果関係があると指摘する社会学者がいる。アルコール消費量の多い地域では、依存症やうつ病の発症が億見られ自殺と結びついているという。自殺が高い地域(高知・秋田・青森・宮崎等では)アルコール消費もそれぞれ4・5・6・7位と上位に位置している。それぞれアルコールが高いことと、自殺率の高さが無関係ではないことを示している。
一方奈良や三重県はアルコールの消費量も全国最下位にあり、自殺率も低いレベルを示している。

4・地域社会の特徴にも関係がありそうだ。都市部に比べて人口流動性が低く昔からの互助の精神が残っている。過疎化の傾向が比較的穏やかであることも特長となっており、奈良の場合は神社仏閣が多いことから、昔からの信仰心も地域に根付いている。こうしたことが地域に住む人たちの心を支えているのかもしれない。

以上の観点から、当面奈良県の自殺の低さが続きそうではあるが何時までもそれが継続されるのかどうか?は地域の取り組みにかかっている。

社会におけるぎすぎすした格差が拡大すれば、治安の悪化や凶悪犯罪などは例外なく広がる気配を見せており、現に昨今の事件では奈良県でも親子殺人などが発生している。飛びぬけて奈良県が日本の社会病としての「自殺大国」から外れているとは言ない。むしろ、今後どんどん都市部や農村部の自殺率と肩を並べる様に上昇することも危惧される。
大切なことは、その地域でどういう自殺防止策が取り組まれていくのか?それが県民全体としての取り組みとして浸透するのかにかかっている。

自殺は、物やお金があり余れば防げるものではなくその意味では心の問題とも大きな関係を持っている。生活に事欠く貧しさを防止することと、人間としての生きがいや支え合いがどれだけ社会に浸透し、例え障がいがあってもハンディなく暮らしていける社会の仕組みが確立されなければならないと思います。

今回の統計で明らかになった奈良県の特徴をしっかり検証して見習うべきものをしっかり受け継ぎ、日本社会全体として解決していかなければならない問題を早く抜本的に改革されていくことを訴えたい。