派遣切りの寒空の中でも毎日を力強く生きている人が・・・

no-mu2008-12-25

これから話すことは、特段の事件でも何でもない日常生活の一コマのことです。
・・・でも、小さな発見を通して力強い生活力を学びました。

朝から嫌な冷たい小雨でした。自転車で利用者や事業所を訪問するので、雨で濡れるのは困るのです。でも私の都合には関係なくお天道様の都合があるようです。
傘をさすほどの降り方ではないので、ぶ厚い合成皮の手袋をはめてコートを羽織り、急ぎつつ朝の訪問予定をこなして行きました。
・・・最後の訪問先を終えて、自転車をこぎだすと、何だか後ろタイヤの状態がおかしい・・・よく見ると急気に空気圧が減っているのです。
「やばい、これはパンクかも?」やむなく無理は避けて自転車を押して近くの自転車店へ直行しました。

・・・ちょうど、お店のおじさんが自転車の修理中だったので事情を話して修理をしてもらうことになりました。
取り掛かっていた修理の自転車を後回しにして、先にパンク修理にかかってくれました。
空気を抜いてむしの状態を確かめ、チューブをはずして抜いていきます。
その作業過程を横で見ながら気が付きました。・・・おじさんは全て右手で作業を行い、左手は道具を支えるときだけ使います。軍手をはめられているので分からなかったけど、左手は障害を持たれていることが分かりました。でも、作業工程において、全て右手だけで進めていく段取りを見てまるで不自由を感じさせないような無駄のない動きにその道のプロとしての誇りのようなものを感じさせてくれました。
「空気圧が、少し少なすぎるようですね。・・・タイヤのヘリが早いですよ。もう少し一杯空気を入れて走ればパンクする確率も減らすことが出来ますよ」
妥当な自転車管理の仕方を聞いて、「そうですか?確かに空気圧はあまり気にせずに減ったときだけ入れていました。これからは、こまめに空気を入れるようにします。」素直な返事が自分の口から出ていました。
チュウブを全体的に観察して、おじさんは穴を一つ発見しました。そしてその穴にようじを差し込み、他に損傷がないかどうか調べていき水に浸けながら確かめる作業をしました。
・・・幸い、その他に穴は開いておらず、パンク修理は1カ所だけで済みました。(きっと、パンクを察知してすぐに下車して歩いて自転車店に持ってきたから損傷が少なかったのでしょう)
あとは手際よくチューブに修理用のゴムを張り付け乾かし、キチンとくっついていることを確認してタイヤをもとに取り付けてくれました。その過程でタイヤとチューブの間に金属片が落ちているのが分かり、それをつまみあげて「犯人はこれやね」と見せてくれました。
なるほど、どこかの金属工場などでよく落ちている鋼の切断片です。これを、自転車の後輪が拾ってしまい食い込んだわけです。

修理時間は、約30分、すっきりと直して頂いてな何と「450円」でした!この値段にびっくりしましたが、穴が1カ所だからこの値段なんだそうです。
おじさんから、500円玉のお釣り50円を受け取り、大きな声で「有難う。助かりました」とお礼を述べて事務所の方に又自転車をこぎだしました。
何だか、この朝の忙しさと、アクシデントのパンクという災いが思いがけない嬉しさを運んでくれたことを素直に喜べる自分が居ました。

おじさんは、左手の障害に怯むことなく、堂々と自転車店の商売を続けておられた。
おそらく、不自由な左手の為に思うように仕事が進められない悔しさを一杯味わってこられたことでしょう。でも、彼は今そんな思いを少しも感じさせない巧みな技で堂々と仕事を続けておられるのです。決してきれいな自転車店ではなく古ぼけた工具がそこらに散在している・・・田舎のどこにでもある様な自転車店ですが、すごくいい雰囲気をか持ち出していました。
おじさんの仕事にかけるその意思の強さを見せて頂き、本当の強さを生ばせて頂いたのです。

何のこともない日常生活の中で、こうして障害を持ちながらも力強く毎日を生きておられる方が私の働く近くに暮らしておられることを知り、心強く思います。
そうです、大阪も捨てたもんやない、と確信を持ちました。
酔っ払いやひったくりばかりが目立つやばい街でもあるのですが、こうして日常生活を地味つに生きている人達が居る街でもあるのです。

大阪の淀川近くで雲の流れを撮りました。飛行機が映っているのが分かりますか?

橋と川の上に広がる空と雲、それぞれの情景がきれいに繋がっているようでしょ?