「僕たちは見たーガザ・サムニ家のこどもたちー」を鑑賞して。


「僕たちは見たーガザ・サムニ家の子どもたち」
http://www.huruim.com/notice/11/wahtwesaw01.html

久しぶりに、第7芸術劇場まで足を運び映画を見てきました。
日曜日の朝一番上映ですが、観客は少ない。パラパラです。
この映画を製作したのは、古居みずえさんですが、今まで彼女のことはよく知りませんでした。
解説を読むと、かれこれ20年はパレスチナを取材されているそうです。もちろん、それ以外にもインドネシアアチェタリバンが支配していたアフガニスタン、アフリカ諸国など多くの戦争が勃発した地域の取材もされており、NHKなどの報道番組として報道されたりもしている。

 さて、この「僕たちは見たーガザ・サムニ家のこどもたち」は、古居監督が多くの日本の親や子供にもガザの現実を知らしめたいと願い取材して編集されたドキュメントです。登場する多くはガザの子供たちであり、自分の目の前で親や兄弟が殺戮される現場を体験してる。

2008年から09年にかけての3週間、イスラエルはガザをどこからも出入りが出来ないよう入り口をふさいで封鎖し、その上で軍隊を進行させて破壊活動を積み重ねた。
正規軍同士の戦争というより、イスラエルの正規軍による、一方的な住民皆殺し作戦の遂行が国際世論を無視して実行された、と言った方が正確であろう。
死亡者は1400人と言われているが、そのうち300人以上は子供たちが犠牲になったという。
映画の中で子供たちが語るように、普通に暮らす村の中にイスラエル軍が襲いかかり、男も女も子供も分け隔てなく殺戮行為が繰り広げられ、住む家と工場や畑など、ありとあらゆるライフラインを破壊した。

 目の前で自分の親や兄弟が、撃ち殺される様を彼らは見ている。そして今、生き延びて少しずつ語りだす。・・・ガザの親たちの子供として生まれたために、何故これほどまでの悲しみを体験しなければならないのか?その現実の意味を彼らは理解することが出来ない。
虐殺により孤児となった彼らは、親戚や知人の手により、貧しくとも育て続けられており、少ない食べ物を分け合い、住む部屋を分かち合い、生活物資などあらゆる日常生活の必要品が欠乏する中でも、残った大人達によって育てられている。

この映画は、多数の建物が破壊され医薬品・医療などが十分に受けられない悲惨なガザの現状を映し出してはいるが、一方ではそういう現実の中でも人として育っている子供たちの素顔を私たち映画を見る者に映し出している。
家族が殺されてから、笑顔を忘れた少女もいる。しかし、一方では農業や生活活動は日常活動を通じて積み上げられており学校などの教育活動も再開されている。次第に逞しく子供たちが成長していくであろうことが見るものに希望を指さしているように思える。

ガザの人達に一番必要なものは、平和であり思い切り遊んで笑いあえる家族と友人の輪の中で、美味しいものを食べ、安心して眠ることであろう。
こうした平和な暮らしは、地球上のすべての紛争地の中でも確保されねばならない筈だ。しかし、現実はそれを裏切っている。
こうした当たり前の(日本人の子供には当然のように保障されている)生活が、ガザの子供たちには欠乏している。このことを、人間として私たちがどう見るのか?どうすれば良いのか?語りかけているように思う。

この映画は現在全国で上映されていますので、ぜひ観て戴きたい。
出来れば子供さんと一緒に見て戴いたら良いと思う。

監督のホームページはこちらです。
http://whatwesaw.jp/