諦めない、介護現場からの声を聞いて下さい。

no-mu2008-06-15

ある大手の介護企業では、前年その前と2年連続昇給はおろかベースアップが見送られています。組合との交渉で、3年目の今年まだ妥結が見られず会社は今年も「昇給見送り」の立場を表明しています。曰く、「事業の収益が上がらず赤字経営が続いているから昇給は出来ない。賃下げはしないので、納得して頂きたい」と言ってきました。

さすがにこの態度には組合も妥協できず、何度か交渉を経て、事務員だけのアップ回答を引き出しました。(上げると云っても、月額1000円というものです。これでは焼け石に水としか評価できません)なぜ、このように頑なな昇給拒否を会社が貫いているのか?これは一つには企業の利益を人件費の拡大で削りたくないという意思の表れだと言えるでしょう。
介護事業者は、介護報酬という国からの決められた報酬枠の範囲でのみ、介護保険の事業に携わっていくことが出来るようになっている。
一旦決められた報酬ではやっていけなくても、次の改革が出来るまでは現在の請求体系の中でのみ収益をもらえるようになっている。

このため、人件費を出来るだけ切り下げていかねばならない宿命をいやがおうにも背負わされる。もし、経営利益を無視して人件費を増やしていけば、当然企業と株主の取り分は圧迫され縮小利益のみが残されることになり、下手をすれば経営が成り立たなくなる可能性もあるだろう。・・・こうして、今介護の事業では人件費のさらなる削減と労働強化と効率性アップによる仕事の密度がどんどん高まる中働く者のストレスはうなぎ登りに蓄積されている。

介護保険開始以来、介護事業に新しい事業者がどんどん参入して一時は畑違いの企業が介護分野に進出することは珍しくない状況になった。
しかし、介護保険開始8年にして今度は新しい局面が現れ始めた。それは、筍の様に参入事業所が増え続ける時代から介護の質が担保できる事業所が選ばれて残る時代と変わりつつある。

そんな中で、組合員たちが投稿する掲示板に、下記の様な投稿をしました。
もし良かったら、読んで頂けたらと思います。

「ダメ元という哲学について考えます。

世の中には、いくら努力しても叶わない事って有りますよね。・・・例えば、自分が好きな恋人に肘鉄を食らった時、どんなに自分が君を愛していると恋焦がれても相手の心が此方を向いてない限りアクションをかければかけるほど、逆効果となって良い結果を生まないものです。

また、天災などが起これば、その恐怖はどんなに神に祈り仏にすがっても無くならないだろうし、大自然の脅威は人間などまるで蟻が踏みつぶされるようにしてその命を奪うものです。
自然の猛威に対しては、人間は本質的にはそれに抗して為す術を持たないのです。・・・だからその意味において「ダメ元」でも抵抗をするしかないと言えるでしょう。
諦めて何もしないのではなく、例え1日でも生き延びるための工夫と知恵を寄せ集めて生き延びるために努力をするわけです。

では、人社会での権力を持つ者と持たない者との関係において、持たない者は何をしても勝つことは出来ないのでしょうか?
持てる者だけが、好き放題に社会と企業の仕組みを操ることが出来ると考えますか?

胸に手をあて、自分に聴いて頂きたいのです。

座して死を待つ生き方をするのか?それとも、あらゆる可能性を求めて自分と仲間の知恵を寄せ集めて行動するのか?そのどちらの生き方を選ぶのか?決めるのはあなたです。

会社も悪どければ、組合も組織の延命を優先して本気で交渉事をしない・・・これではどちらも信用できないどころか当てにはならない。

だから思うのです。大事なことは、各拠点の末端における仲間のスクラムを強くせよ。
職場の仲間の一人の離職も、皆の問題として真剣に受け止め脱落することなく、この介護の仕事を続けていけるよう、私達が出来ることからやり始めましょう。

こうした地道な努力と抵抗は、必ず粘り強く継続することで目に見える効果を作り出す筈です。」